米国株式投資戦略 ~政府機関閉鎖が怖い理由~

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

ポイント

米国では2019年会計年度の連邦政府つなぎ予算が期限切れとなり、昨年12月22日から一部政府機関閉鎖となっています。事の発端は、トランプ大統領がメキシコ国境沿いの「壁」建設予算を巡って、野党民主党と対立したことです。政府機関閉鎖は実体経済への悪影響のみならず、米国債の格下げリスクに発展しかねず、潜在的な株安材料として警戒が必要です。

政府機関閉鎖期間は過去最長を更新し、前人未到の領域に。政府機関閉鎖が長引けば景気への悪影響はさらに高まる可能性

政府機関閉鎖が過去最長を更新し、米国経済に対する悪影響が懸念される中、米国株式市場は今のところ平穏を保っています。その理由としては、過去の政府機関閉鎖時におけるS&P500指数のリターンが、概ね横ばいだったことが影響している可能性があります(1981年以降の全閉鎖期間のS&P500平均騰落率は+0.48%)。

 

[図表1]政府機関閉鎖期間とS&P500指数の騰落率

日次、※1981年以降で政府閉鎖期間が10日以上を抽出 ※S&P500指数は配当含まず 出所:各種資料、ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
日次、※1981年以降で政府閉鎖期間が10日以上を抽出
※S&P500指数は配当含まず
出所:各種資料、ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、1981年以降の平均閉鎖期間は約5日だったのに対し、今回は1月22日時点で32日間に及んでおり、さらに長引く可能性もあります。一般的に、政府機関閉鎖の影響は限定的だと解釈されますが、「長引けば経済データに明確に表れるだろう」とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が懸念を示しているように、長期化すれば実体経済への波及効果が増大するリスクがあります。米大統領経済諮問委員会(CEA)は「政府機関閉鎖はGDPを1週間ごと0.13%引き下げる」と試算しており、これまでの「2週間ごとに約0.1%引き下げる」との試算からその影響度合いを引き上げています。

 

 

[図表2]政府機関閉鎖以降のS&P500指数とVIX指数

日次、期間:2018/12月21日~2019年1月18日 ※S&P500指数は配当含まず。VIX指数はシカゴオプション取引所がS&P500指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表する指数。別名「恐怖指数」とも呼ばれる。 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
日次、期間:2018/12月21日~2019年1月18日
※S&P500指数は配当含まず。VIX指数はシカゴオプション取引所がS&P500指数のオプション取引の値動きをもとに算出・公表する指数。別名「恐怖指数」とも呼ばれる。
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、さらに警戒すべきは米国債の格下げリスクです。メキシコ国境沿いの壁建設予算を巡る、トランプ大統領と民主党との対立は混迷を極めており、このまま長引けば連邦債務上限の引き上げ協議まで影響を及ぼし、米国債の格付けが引き下げられる可能性があるからです。

連邦債務上限の引き上げ協議まで難航すれば、米国債の格下げ株安シナリオも

2011年当時、米国連邦債務上限の引き上げ問題が生じた時は、格付け会社S&Pが米国債格付けをAAAからAA+へ一段階引き下げ、「世界同時株安」をもたらしました。一方、格付け会社のフィッチ・レーティングスは2011年に米国債格付けを最上級格付けで維持したものの、このまま連邦債務上限の引き上げ協議が難航すれば、今回は米国債を格下げする可能性があると警鐘を鳴らしています。政府機関閉鎖は景気下振れ要因だけでなく、米国債の格下げ要因にもなりかねないため、潜在的な株安材料として警戒が必要です。

 

 

[図表3]政府機関閉鎖の主な影響

出所:各種資料を基にピクテ投信投資顧問作成
出所:各種資料を基にピクテ投信投資顧問作成

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式投資戦略 ~政府機関閉鎖が怖い理由~』を参照)。

 

(2019年1月23日)

 

 

田中純平

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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