売上目標で頑張る会社では「ボーナスが出づらい」理由とは?

今回は、会社の「粗利」を注視することで、どのように経営が改善されていくのかを解説します。※本連載では、粗利「だけ」に目を向けて、経営改善する方法について解説する。

売上を目標とすると「黒字化」は難しい

会社の利益が増えれば、社員の物心両面を満足させることができるわけですが、特に心の面では、社員が前向きに目標達成に取り組めるようになるのも重要なポイントだと思います。

 

売上目標のみで頑張る会社では、あらゆる仕事が後ろ向きになりがちです。営業部門は「儲からない仕事だけど引き受けないと売上にならない」といった「仕方ない」という気持ちが生まれやすくなります。

 

製造部門も薄利の仕事や赤字の仕事のために汗水流さなければなりません。

 

そういう状態ではやる気が出なくなって当然でしょう。

 

しかし、粗利を見る経営を徹底し、現状として獲得できている粗利額を会社全体で共有すれば、自分たちがどこを目指しているか分かりやすくなり、あといくら稼げば良いかも分かります。

 

「粗利目標を達成すれば黒字になる」という決算の基本部分を理解してもらうことで、たくさん売るために盲目的に働いていた状態から、明確な目標を持って働く状態に変わることができるのです。

 

また、目標が明らかになるとやる気も出やすくなります。

 

例えば、どこまで続くか分からず、ゴールがどこにあるか分からない道を全力で走れと言われたとしましょう。

 

本気で走ろうと思うでしょうか。私は思いません。

 

ゴールが分からない道は不安です。途中で力尽きるかもしれないし、ゴールまで到達できないかもしれないと思うから、最初から無理せず、適当に走ろうと思うかもしれません。

 

販売個数や売上を目標とする方法は、この状態に近いと私は思います。

 

スタートする時くらいはとりあえず全力を出すことができるでしょうが、どこまで走るか分からないという不安が生まれ、やがて足を止めたくなります。走った先に何があるか、どこまで走れば良いかといったことが分からないと、人は本気で走り続けることができないものなのです。

 

一方、粗利を見る経営はゴールが明確です。目標粗利額が5億円なら、5億円以上稼げばゴールです。目標まであと1億円のところまできたら「粗利100万円のこの商品をあと100個売れば達成できる」といった計算もできます。

 

さらに、営業マンが10人いるなら「1人10個売ればいい」といった計算もできます。計算ができ、自分がやることが分かれば「最低でも10個売る」という役割にも集中しやすくなり、やる気も高まりやすくなるでしょう。

 

これも、販売個数や売上のみを目標とする経営では実現できない変化だと思います。

 

粗利を軸にすれば、薄利を追う仕事や赤字になる仕事で疲弊することはなくなるでしょう。

 

また、日々の仕事のどこが変わるかというと「どうやったら稼げるか」を重点的に考えるようになるという点です。稼ぐために重要なのは高く売り、安く仕入れることですので、その方法を考えなければなりません。

 

例えば、一つ10万円で売っている商品を11万円で売るなら、その商品の魅力をより具体的に取引先に伝える必要があるでしょう。

 

どんな魅力があるのか。

 

どうすれば魅力が伝えられるか。

 

そういったことを常に考えなければならなくなるわけです。

 

実際、ある会社では取引先へのプレゼン方法を練り、主力商品の値上げに成功した例があります。安く仕入れるための施策を練り、材料費を安くした会社もあります。

 

「たくさん売る」という経営に慣れているとなかなか目が向きにくいのですが、利益に注目し「どうやったら稼げるか」を考えると、これまでにないアイデアが出てくるものなのです。

 

また、競合が似た商品を扱っている場合、多くの人は「安くして売ろう」と考えます。しかし、そこも逆です。

 

粗利を得るためには高く売る必要があり、高く売るために必要な付加価値を生み出すことが重要だからです。

 

例えば、商品の梱包方法を変えれば取引先が喜び、高く買ってくれるかもしれません。デリバリーの方法を工夫したり、他の商品と組み合わせて販売するなど、方法はいろいろと考えられるでしょう。

 

安くして売ったり、訪問先を飛び回ってたくさん売る方が簡単ですが、それでは粗利は稼げません。

 

考える、工夫する、アイデアを出す、試すなど、これまで大変そう、面倒くさそうという理由で敬遠してきた作業に重点を置くことが、粗利を見る経営を実践していく上で大切なポイントなのです。

社員に「粗利を稼ぐ施策」を考えさせる

売上目標を粗利目標にするということは、経営の根本的な方針を変えることですので、社長や経営幹部の指示も変えなければならないでしょう。

 

「たくさん売ってこい」という指示は、社員に対して「考えなくていい」と伝えているのと同じです。

 

そこを変えなければいけません。

 

重要なのは粗利を稼ぐことであり、そのための施策を社員に考え出してもらうことなのです。高く売り、安く仕入れる施策を実行していけば、無意味な仕事は減り、利益につながる仕事のみが増えていくはずです。

 

経営面から見ると、改善以前の状態は、仕事はたくさんありますが、利益が増えない状態です。しかし、高く売り、安く仕入れるようになれば、当然ながら仕事の量が同じだったとしても、利益は以前より確実に増えているはずです。

 

社員の目線から見ると、改善以前の状態は、一生懸命働いても報酬に反映されず、やりがいも生まれません。一方、粗利を見る経営によって利益が出るようになれば、以前より忙しくなることもありますが、そこに報酬とやりがいがついてきます。

 

粗利を見る経営は、突き詰めれば、この状態に変革することを指しているのです。

 

さて、粗利を見る経営の説明は以上でおしまいです。

 

非常にシンプルな考えですから、特に迷う部分もないと思います。

 

粗利を稼ぐ方針が立てば、あとはそのための具体策を練ったり、効率よく目標達成するための方法を考えていけば良いだけです。

 

このような話をすると「本当にそれだけ」と疑う社長もいます。

 

その気持ちも分からなくはありませんが、私の経験上、必ず上向きます。必ずです。むしろ重要なのは、社長を筆頭とする経営陣が「粗利さえ稼げば大丈夫」と信じ込めるかどうかであり、そう信じて経営方針を転換できるかどうかだと思います。

 

きちんと必要粗利を計算し、その金額を稼ぐことができれば、結果として会社は黒字になります。

 

給料を増やしたり、ボーナスを出したりすることにより、社員のやる気を高めることもできますし、辞めてしまう人を減らすことにもつながります。

 

粗利「だけ」見る経営は、そのような根拠と効果を踏まえたものであり、経営改善に向けた最短ルートでもあるのです。

 

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昭和42年石川県金沢市生まれ。法政大学文学部卒業。地元大手商社の営業部長、大手コンサルティングファームで金沢支社長を務めた後、平成20年にk・コンサルティングオフィスを個人開業。平成27年法人化。建設業界の業績改善に大きな強みを持つコンサルタントとして、ゼネコン、工務店、設備会社など多数の顧問先の経営改善に取り組んできた。社員全員と面談を行うなど、顧客に深く入り込むコンサルティングを強みとし、顧問企業の90%以上は2年以内に業績が大幅改善するという圧倒的な実績を残す。2年で利益が80倍になった例もある。

著者紹介

連載「粗利」を増やして企業の経営を劇的に改善する方法

粗利「だけ」見ろ 儲かる会社が決して曲げないシンプルなルール

粗利「だけ」見ろ 儲かる会社が決して曲げないシンプルなルール

中西 宏一

幻冬舎メディアコンサルティング

売上を見てはいけない! 経営改善の真髄をわかりやすく解説。 東京オリンピックに向け、建設業や不動産業などの好景気が報じられています。 また飲食業や運送業も繁盛しており、人手不足が深刻化する程です。 しかし、好…

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