現場の社員も大助かり?「粗利」で考える社長が優秀である理由

今回は、粗利を見ることによって現場にもたらされるメリットについて見ていきます。※本連載では、粗利「だけ」に目を向けて、経営改善する方法について解説する。

現場の社員は「純利益」と言われてもピンとこない

会社が経営不振に陥る第一の落とし穴は、売上を見てしまうことです。その穴さえ飛び越えれば経営改善は順調に進みます。

 

では、売上から目を離し、どこに注目するのでしょうか。その答えは「粗利」です。

 

粗利は、売上総利益や売総とも呼ばれる利益の一種で、詳細はこれから説明しますが、ここを軸にした経営にすることが経営改善の肝です。

 

まずは損益計算書(以下PL)の流れに沿って、粗利がどういうものかをおさらいしておきましょう。

 

PLに沿ってお金の出入りを上から順に見ていくと、もっとも上に載るのが売上で、以下、売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益、税引き前利益、純利益という順に並びます。それぞれの利益をざっくり説明すると、次のようになります。

 

売上:商品やサービスを販売して得る金額の総額

粗利:売上から売上原価を引いた金額

営業利益:粗利から販売費と一般管理費を引いた金額

経常利益:営業利益に営業外収益を加え、支払利息などの営業外費用を引いた金額

税引き前利益:経常利益から特別損益などを引いた金額

純利益:税引き前利益から法人税を引いた金額

 

会社が存続していくためには、PLの最下段の項目である純利益がプラスでなければなりません。

 

利益が残れば投資もできます。給料やボーナスとして社員に還元することもできますし、手元に現金が余るわけですから、運転資金などを借り入れる必要もなくなります。ということは、社長も社員も純利益の黒字を目指せば良いということになります。

 

ただ、そのように考えると話が複雑になります。前述したように、純利益は最終的な利益であり、あらゆるコストを引いて残るお金のことですので、日常的にどんなコストが掛かっているのか把握していないと、どれくらいの純利益が残るかイメージしにくいのです。

 

簡単にいえば、現場で働く社員たちから見て、純利益という言葉がピンとこないということです。

 

例えば、自分が商品やサービスを売る営業スタッフで、「純利益が300万円以上残るように売ろう」と言われたとしましょう。

 

ピンとくるでしょうか。私は難しく感じます。

 

何を、どれくらい売れば良いか、目安も浮かびません。

 

「純利益300万円」という目標を自分の販売目標に置き換えるためには、その過程で引かれる一般管理費、支払利息、法人税などを計算しなければならないからです。

 

経常利益や営業利益を目標にする場合も同じです。

 

経常利益を考えるためには支払利息などがいくらか計算しなければならず、営業利益を把握するためには一般管理費がいくら掛かっているか知らなければなりません。

 

そう考えると、売り手にとってはPLの上の方にある項目ほど身近に感じやすく、自分の販売目標と紐付けしやすいといえます。

 

もっとも分かりやすいのがPLの一番上にある売上で、売上は自分たちが売った金額のことですから、どれだけ売れば良いか分かりますし、あといくら足りないかも分かります。もちろん、売上を目標とする経営は避けなければなりません。

 

理由は前回までに触れたとおり、売上を増やしても利益が増えるとは限らないからです。

 

そこで、粗利です。

 

PLを上から順に見ていくと、粗利は売上の次に出てきます。

 

PLの中で上にあるほど個々の目標としてイメージしやすく、なおかつ、売上至上主義に陥る可能性も避けられるという点で、粗利は目標として使う項目に適しているといえるのです。

粗利を目標にすればイメージが湧きやすく把握も簡単

粗利が重要である理由は簡単です。目標とする粗利額を稼げれば、その結果として、もっとも下の項目である純利益が黒字になる可能性が大きいからです。

 

では、目標とする粗利額はどのように設定すれば良いのでしょうか。ポイントは、今度は逆にPLを下から見ることです。

 

PLの最下段の項目は純利益です。目指しているのは、この部分を黒字にすることで、純利益から上に見ていくと、粗利は、支払利息や一般管理費など各種コストを足した金額と一致します。

 

ということは、最終的にいくら残したいかを考え、純利益の目標額を設定すれば、そこに各種コストを足すことによって目標となる粗利の額が計算できます。

 

粗利目標を達成するということは、支払利息や一般管理費などを賄うことと言い換えられますので、それができれば、経営状態の悪化や、新たな資金の借入れを極力抑えることができます。

 

逆に、経営に必要な粗利目標が達成できなければ、PLでその下に続く営業利益、経常利益などもマイナスになり、純利益も赤字になります。

 

そのため、まずは粗利目標を超える分だけ稼ぐことが経営改善の最低条件となります。

 

単純な計算方法ですから、経営陣としては粗利を管理することによって収益状況が管理できますし、現場で稼ぐ社員にとっても、イメージがわきにくい純利益を目標とするより、粗利を目標とした方が、いくら稼げばいいか、あといくら足りないかが把握しやすくなるはずです。

 

昭和42年石川県金沢市生まれ。法政大学文学部卒業。地元大手商社の営業部長、大手コンサルティングファームで金沢支社長を務めた後、平成20年にk・コンサルティングオフィスを個人開業。平成27年法人化。建設業界の業績改善に大きな強みを持つコンサルタントとして、ゼネコン、工務店、設備会社など多数の顧問先の経営改善に取り組んできた。社員全員と面談を行うなど、顧客に深く入り込むコンサルティングを強みとし、顧問企業の90%以上は2年以内に業績が大幅改善するという圧倒的な実績を残す。2年で利益が80倍になった例もある。

著者紹介

連載「粗利」を増やして企業の経営を劇的に改善する方法

 

 

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