社員の意見を聞かず、「売上至上主義」に走る会社がダメな理由

今回は、「売上至上主義」が会社にもたらす悪影響を、実例をもとに見ていきます。※本連載では、粗利「だけ」に目を向けて、経営改善する方法について解説する。

会社の経営改善には、社長の「本気」が試される

会社経営は、社長本人のみならず、社員の生活にも影響しますし、当然、社員の家族の生活にも関わります。

 

そのため、本気で経営改善したいのであれば、社長も本気になり、どんなことをしてでも改善するという覚悟を決めなければならないでしょう。

 

社員の意見を聞くことや、そのために日々のコミュニケーションを良くすることなどは必要最低限のことです。社員との間に壁を作り、「どうせ社員の意見だから」などと見下すような思考を持つことは論外です。

 

そこを変えない限り、または、そこがそもそもの問題であることに気がつかない限り、社員に「売ってこい」「売上を増やせ」と命じるだけの経営は永遠に変わりません。そもそもの人間関係ができていない状態や、信頼関係がない状態では何をやってもうまくいくはずがないのです。

 

また、税理士、会計士、コンサルタント、銀行の融資担当者など、外部からその会社の経営改善に携わる人も、社長と同じくらい本気にならなければならないでしょう。

 

一つ例を挙げると、ある時、経営状態が全然良くならない会社のコンサルティング業務を引き継いだことがありました。その会社では過去3年にわたって別のコンサルタントが付いていたのですが、業績が改善するどころか会社の状態は悪化していました。そこで会社のメインバンクから指示を受け、私が後釜にすわることになったのです。

 

その時、私は前任のコンサルタントと話し、その会社の業績が落ちている理由を聞きました。

 

するとその人は、「業績には反映されなかったが、この3年でこの部分は良くなった」というようなことを言ったのです。その言葉からは「自分はやるべきことはやった」「だから私は悪くない」という主張が感じ取れました。

 

社長に嫌われないように振る舞い、当たり障りのない提案しかできなければ、効果も限定的になります。私はそう確信しました。

 

社長にとって耳が痛いことでも、必要であればしっかり伝える使命感と、そのせいで場合によっては嫌われても構わないという覚悟がない限り、会社の業績改善はできないものなのです

 

もちろん、コンサルタント業務は多種多様ですから、営業スキルを高めたり、人材育成の制度を作るといった部分的な改善を専門にする人もいます。

 

その時の前任者も、感覚としてはそういう立場で経営改善と向き合っていたのかもしれません。

 

しかし、それは人の体でいえば指先のケガや足の骨折を治すようなものです。

 

経営不振は、いわば生死に関わる話ですので、ケガや骨折を治したところで、病気によって心臓が止まれば死んでしまいます。会社の場合は倒産します。そうならないようにするのが、コンサルタントの本来の役割だと私は思います。

 

命は助かりませんでしたけどケガは治りました。病気は末期症状ですが骨折は治りました。それで喜ぶ人がいるでしょうか。私はいないと思います。

 

本気で経営改善したいのであれば、社長は自分のこれまでのやり方を変える勇気を持つ必要がありますし、支援する人も嫌われる勇気を持たなければならないと思うのです。

まず経営者が「売上至上主義」に陥っていないか疑う

偉そうなことを書きましたが、実は私自身も解約を恐れていた時期がありました。

 

独立して3、4年くらいの時期までは、仕事を失いたくないという保身の気持ちがどうしても出て、売上第一で突っ走る社長の方針を強く指摘することができませんでした。遠回しな言い方でやんわりとしか伝えられなかったため、根本的な改善に余計な時間が掛かったこともありました。

 

当時は5社くらいの経営改善に携わり、どの会社も業績は伸びましたが、目標まではまだ遠く、飛躍的な改善には至りませんでした。

 

売上至上主義が間違っていると断言せず、経営改善のためにやめてほしいことや、やってほしいことを強く言い切らないわけですから、当然の結果といえるでしょう。

 

根本的な問題は、解約を恐れて口出しできなかった私がコンサルタントとして未熟だったからです。そのことに気づき、私は方針転換することにしました。

 

以来、ダメなものはダメだというようになり、経営改善のためにやめてほしいこと、やってほしいことについて「私を信じてやってくれ」「やめてくれ」と強く言うようになりました。

 

それがきっかけとなり、5社の業績は噓みたいに伸びていくことになります。間違いを指摘することによって社長に嫌われることもなく、むしろ利益が上がって感謝されるようになりました。

 

また、そのような成果を見た銀行の担当者などに注目されることにもなりました。「どうやら中西というコンサルタントが関わっているらしい」「ウチが融資している会社も立ち直らせてくれるのではないか」そんな話が増え、依頼数が増えていくことになったのです。

 

今はそのような経緯で銀行に任された会社を含め、30社近い会社の経営改善を同時進行しています。どの会社も順調に経営状況が改善しています。

 

任された時はいずれも赤字や債務超過といった問題を抱えていましたが、ほぼ全ての会社が黒字化していますし、支援を始めて間もない会社も黒字化の目処が立っています。

 

このような実績も踏まえて、私は私の主張に自信を持っています。主張はシンプルです。

 

経営にはさまざまな問題がありますが、まずは売上を追いかける経営をやめるということです。そのためには、まずは経営者の方は自社が売上至上主義に陥っていないか疑ってみることが大事なのです。

 

「売上があと10%伸びれば何かが変わる」。そんな考えがふと思い浮かぶことがあるとしたら、それは売上至上主義という病気です。何かが変わると期待しているかもしれませんが、実際には何も変わらず、むしろ悪化していく一方なのです。

 

昭和42年石川県金沢市生まれ。法政大学文学部卒業。地元大手商社の営業部長、大手コンサルティングファームで金沢支社長を務めた後、平成20年にk・コンサルティングオフィスを個人開業。平成27年法人化。建設業界の業績改善に大きな強みを持つコンサルタントとして、ゼネコン、工務店、設備会社など多数の顧問先の経営改善に取り組んできた。社員全員と面談を行うなど、顧客に深く入り込むコンサルティングを強みとし、顧問企業の90%以上は2年以内に業績が大幅改善するという圧倒的な実績を残す。2年で利益が80倍になった例もある。

著者紹介

連載「粗利」を増やして企業の経営を劇的に改善する方法

 

 

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