入居づけ失敗の最大要因は「部屋内部の汚さ」
首都圏の人から見て、「こんな物件で大丈夫なのか?」と思える地方の田舎物件であっても、賃貸需要をきちんと見極めれば初心者でも勝てます。賃貸需要のある物件を選んだのに入居が決まらないとしたら、考えられる理由はいくつかに絞られます。最大の要因としては「部屋の内部が汚いから」というものです。
基本的に、築古物件は古くて汚いです。しかし、これらをきれいに直していこうと思ったら、購入後に多大なコストがかかることは珍しくありません。ですから、入居者が嫌がってすぐに出ていってしまうような理由を取り除くことに注力します。大切なことは「全部」ではなく「必要な部分だけ」を選ぶことです。
実は、物件の外観に対しては入居者はそれほど重視していません。周辺エリアのなかでも圧倒的に家賃が安ければ、外面に関してはそこまで気にしないものなのです。
しかし、室内に入って部屋が汚かったら、これは一発アウトです。したがって、部屋内部の清掃をきちんと行なうことが大前提です。
清掃業者にお願いすれば、清掃のノウハウが学べる
物件を管理する管理会社はすぐにクロス交換を提案しますが、ビニール製のクロスの汚れは思ったよりも落ちやすいものです。
基本的には住居用洗剤の「マイペット」を吹き付け、固く絞ったスポンジやタオルで、汚れを吸い取るように拭き取ります。落ちにくい場合は「セスキ炭酸ソーダ」もおすすめです。
50gで100円程度のセスキ炭酸ソーダを、水500㏄に対しセスキ炭酸ソーダ小さじ1(5g)を溶かしてスプレーを作ります。それをクロスに吹き付けてからブラシなどでこすると、思っている以上にきれいになります。汚れ度合いにより濃度を調整しますが、筆者は基本的に濃い目に作っています。とくにクロスの汚れがきれいになります。たっぷりスプレーすると床が濡れるため、バスタオルなどを使って吹きながら清掃しましょう。たばこのヤニ汚れにも効果的です。
キッチンまわりなどの油汚れに対しては、台所のそうじ用品「マジックリン」の業務用が便利ですが、強力すぎると部材が溶けてしまうこともあるので注意が必要です。目立たない部分で試してから、あまり強くこすらないようにして使いましょう。とくにプライベートブランドは、値段は安くても落ちにくいのでおすすめしません。
マジックリンの業務用はこびりついた油汚れに効きます。油汚れマジックリンを入れたお湯に、油汚れのものを浸けておくと、例えばレンジフードの網や換気扇の羽が、気持ちいいほどよく落ちます。水まわりの細かい部分の掃除は、メラミンスポンジの「激落ちくん」がおすすめです。
ただし、自分で清掃するやり方を紹介していますが、最初はハウスクリーニングや清掃業者を頼んで、一度実際にプロのやり方を見ておくのがいいと思います。使っている洗剤類はもちろん、使う順番や拭き取るタイミングなどが直に学べるからです。
ハウスクリーニングや清掃業者はインターネットで探せます。「地域名+ハウスクリーニング」で検索しましょう。依頼の際には、床ワックスとロフト清掃、玄関の扉の内側、外側、水ふき清掃、そのドアクローザーの上にホコリがたまりやすいので、水ぶき清掃をしっかり行なってもらうように伝えましょう。
クロス、キッチン、洗面台などは昔のもののほうが丈夫
よく初心者がやりがちなのは「やりすぎる」ということです。
筆者も経験がありますが、例えばクロスも拭けばきれいになったものを張り替えてしまうなどです。しかも、クロスは昔のもののほうが丈夫にできています。また、キッチンや洗面台も、昔に作られたものはデザインは古風ですが、傷が付きにくく丈夫にできていることが多いです。
ですから、まずは見た目の古さよりは、「使えるか使えないか」というところをポイントに見極めましょう。使えるようであれば、キッチンや洗面台はなるべくそのまま使うようにします。
そして、蛇口の交換を行なうだけでもパリッと見栄えがよくなります。水まわりはステンレス部分など光る部分がピカピカになっていると、それだけでも印象が変わるのでぜひ磨いてください。扉面にカッティングシートやCF(クッションフロア)を貼るのもおすすめです。
ほかにもバスルームの鏡を新品に取り換えるなど、数千円ですむ範囲で手を入れてください。
黒崎 裕之