前回は、どんな人でも「投資」に無知・無縁ではいられない理由を説明しました。今回は、今の時代を賢く生き抜くために「投資」が必要な理由について見ていきます。

経済への理解が「生活の困窮リスク」を軽減する

筆者が皆さんに株式投資を勧める第一の理由は、インフレリスクに対するヘッジであり、長期的には最も賢いお金の増やし方であると思われることにあります。そして第二に、少額でもいいから「投資」を行うことで、経済についてもっと詳しくなってほしいと考えるからです。

 

かつて、原始社会においては力の強い武人が権力を得たものでした。そのうちに、人の心をつかみ、人を動かせる政治家が権力を握りました。しかし、現在は、経済を知り、お金を儲けられる人が、その財力で権力を得る時代です。資金のない人は、人に言われるがままに働かねばなりませんし、何をするにも選択肢が限られてしまいます。

 

経済の仕組みを知ることは、あなたの生きているこの社会の仕組みを知ることです。そして、経済の仕組みを利用することで、大金持ちにはなれなくとも、日々の生活に困るリスクは大幅に減らすことができます。

 

本連載は、なかなか「投資」の具体的な話をしてきていません。その理由は、経済の動きや仕組みを理解していない人に投資を勧めることはできないからです。経済を知らずに「投資」に手を出したところで、損をするのが目に見えているからです。

 

そのため、本連載では投資に少しでも興味を持った人が、まっとうに投資を続けられるように地道な話を延々と続けています。そんな回りくどい話はどうでもいいから、とにかく儲けるテクニックを知りたいとおっしゃる人は、デイトレードやチャート分析の本でも読んでください。しかし、そのような視野の狭い方法では、運がよければ短期的に利益を上げることはできるかもしれませんが、永続的に利益を上げることは絶対にできないと申しておきます。

世の中に利益を生む行為はすべて「投資」につながる

経済は多くの人が参加することによって、よりよくなる可能性を秘めています。もちろん、ほとんどの人は「労働」と「消費」というかたちで経済に参加してはいますが、それは経済の一側面でしかありません。お金について自分の頭で考えることができるようになるために、筆者はあなたに、ぜひ「投資」に参加していただきたいと望んでいます。

 

筆者の言う「投資」とは、決して怖いものでも、難しいものでもありません。例えば年末に行われている赤い羽根共同募金は、投資の一形態です。地域の人からお金を集めて、地域の社会福祉の充実のために役立てているからです。

 

あるいは友人が脱サラするのでお金を貸したとしたら、それも投資です。その友人が十分な利益を上げたら、いずれ利息をつけて返済されるはずのものだからです。また、あなたの勤めている会社に従業員持ち株制度があって、それに参加しているなら立派な「投資」です。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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