前回は、今の時代を賢く生き抜くために「投資」が必要な理由について説明しました。今回は、投資の実践が、自らの「お金」について考えるきっかけになる理由について見ていきます。

源泉徴収方式が人々の社会に対する関心を薄めている!?

筆者はときどき、選挙権や納税義務と同じように、「投資」も全員参加を前提にした制度にしたほうがよいのではないかと考えることがあります。どんなにわずかな額であっても自ら市場に「投資」することで、その人自身が「お金」について考えるきっかけとなり、自己破産や生活保護に陥ることを予防することができるのではないかと思うからです。

 

日本では、サラリーマンの税金、保険、年金が、給料から天引きの源泉徴収方式になっているために、自らの納めている税金の使い道について人々の意識も高まらないし、政治への参加意識も薄いという議論が、識者の間でよく交わされています。ある意味では、正しい指摘です。

 

あなたは、毎月源泉徴収されている所得税、保険の掛け金、厚生年金の掛け金がいったいいくらであるか知っているでしょうか? そして20歳から60歳までの40年間で、それらの合計額がいくらになるか計算したことはあるでしょうか?

 

例えば、毎月の年金の掛け金が2万円だとするならば、1年間で24万円、40年間で960万円です。実際は、所得の増加に比例して掛け金も増加していくので、合計金額はさらに多くなるでしょう。あなたの老後の年金の原資となるそれだけのお金が、株式や債券といった「投資」商品に運用されているのに、何も知識がないとしたら不安にならないでしょうか。

自己責任で運用する投資が好まれているアメリカ

そこでアメリカでは、自分の年金資金の運用先を自分で選べる年金制度が1970年代に誕生しました。それがいわゆる401kとして知られる確定拠出年金です。それまでの年金制度は、将来給付される年金の金額が先に確定していて、それにあわせて年金の原資を積み立てていくものでした。この場合、年金機構や企業が運用に成功しても失敗しても、あるいは物価が上がっていても下がっていても、基本的には将来に給付される年金の金額は変わりません。

 

それに対して確定拠出年金は、年金の原資に拠出する毎月の積立金額が先に確定しているものの、資金の運用先は自分で選ぶことができて、将来の給付額は運用次第というものです。

 

一見、給付額が保証されている確定給付型のほうが有利のようにも見えますが、確定給付型は、自分のお金を他人任せにするというデメリットがあります。確定拠出型は自己責任で資金を運用することができますが、運用の失敗の責任もそのまま自分に降りかかってきます。

 

どちらがいいかは一長一短ですが、アメリカにおいては年金制度全体における確定拠出型のシェアは、確定給付型のシェアを大きく上回っています。アメリカ人は自己責任での運用を好み、そのために「投資」や「経済」について詳しくなっています。現在のアメリカ経済の強さは、このような草の根の教育がベースにあるのではないでしょうか。

 

アメリカにおける401kの成功を見て、日本でも2001年に確定拠出年金法が施行されるようになりました。日本でも年金資金を自分で運用できるようになったのですが、アメリカと違ってなかなか広まりません。どうしても日本では「寄らば大樹の陰」的な発想が強く、「鶏口となるも牛後となるなかれ」といいますが、独立独歩でやっていく気風がいまだ根付かないようです。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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