バフェットの右腕・マンガーが語る「ブランド論」の極意

本連載は、スパークス・グループ株式会社のウェブサイトに掲載されている「COLUMN / バフェット・クラブの金言」を転載したものです。

初対面ですぐ打ち解けたバフェットとマンガー

バフェットクラブ第7弾。今回はバフェットさんの右腕と称されるバークシャー・ハサウェイの副会長チャーリー・マンガーさんです。「グレアムの考え方の限界を超えるためには、チャーリー・マンガーの思考の力が必要だった」バフェットさんにそう語らせたマンガーさんとはどのような人物なのでしょうか。

 

マンガーさんは1924年1月1日にバフェットさんと同じネブラスカ州のオマハで生まれました。バフェットさんが1930年生まれですから、マンガーさんは6つ年上ということになります。父親が弁護士を務めていたこともあってか、バフェット家とは昔から交友があったようです。

 

バフェットさんご本人との初対面は1959年までさかのぼります。マンガーさんが父親の遺産整理をするために実家へ帰省しているときに友人の紹介で知り合ったようです。

 

[PR] 7月23日 (火)  無料セミナー@幻冬舎(東京)
バフェット・ソロスの系譜を引き継ぐスパークスの「絶対リターン」の獲得手法

 

軽い挨拶を交わしたのち、2人はすぐ打ち解けたそうです。マンガーさんが彼の投資について質問すると、バフェットさんは25歳のときに立ち上げたパートナーシップについて話しました。1957年に市場平均株価が8%以上下落したにもかかわらず、バフェットさんのパートナーシップは10%以上の利益を挙げたことなどを聞き、大いに関心を持ちました。

 

マンガーさんは既に弁護士として好調なスタートを切っていましたが、「私にも同じことができるかな」とバフェットさんに尋ねたところ、バフェットさんは、「できるだろう」と答え、熱烈なラブコールを繰り返したそうです。こうしてマンガーさんがバフェットさんを支える体制ができあがり、マンガーさんは1976年にバークシャー・ハサウェイの副会長に就任。名実ともにバフェットさんのパートナーとして、バフェットさんに新たな投資の地平を切り開くことになるのです。

起点となった「シーズ・キャンディー社」の買収

マンガーさんのブランド論について考えるのならば、1972年のシーズ・キャンディー社の買収を忘れてはいけません。

 

マンガーさんは「年に10%値上げしても誰も気にしないで買い続けてくれる商品が存在することが分かった。この経験がバークシャーを変えた」と言い残しています。シーズへの投資を通して、その後のバフェット投資の土台を築く「ブランド力を貨幣価値におきかえて、企業の実態価値を測る手法」ができ上がっていったのだと思います。

 

シーズ・キャンディーは1921年に創業した老舗で、今でも西海岸を中心に人気のあるチョコレートキャンディーメーカーです。シーズを買収した理由は何だったのでしょうか。

 

シーズの企業価値の源泉は、簡単には消えない競争優位性を持つビジネスモデルにあります。チョコレートはアメリカ人にとってコンフォートフード、日本語で言うと「家庭の味」と呼ばれる食べ物です。つまりシーズは味が良いだけではなく、シーズのチョコレートを楽しむという経験を売っているのだと思います。「これを食べて育った」という強烈な共感がブランドとしてでき上がっていたのです。

 

ブランドが定着すると、顧客は心地良さを求めて製品を買います。安いからではなく、シーズ・キャンディーだから買うのです。マンガーさんの言葉を借りれば「ブランドには、かなり高い情報の優位性があります。規模の経済性も情報の優位性になり得ます」「みんなが買っているものは他よりも良いだろうと考えるのです。それに、自分だけがみんなから外れるのもいや」といったところでしょうか。マンガーさんはこのブランド価値に投資したのです。

 

その結果、シーズは、販売数量を増やさなくても値上げによって利益を大きく増やすことができるビジネスモデルを作り上げたのです。数量を増やすための新工場を作るなどの設備投資の必要性も限定的です。

 

余談ですが、シーズ・キャンディーの店舗に行くと、店員はとてもフレンドリーです。バフェットさんが株主であることを自慢してくる店員さんたち。生き生きと働く姿を見ていると、株主も立派でなくてはいけないと思うのです。

ブランドは「顧客との約束」

マンガーさんは「ブランドとは期待される質とサービスを提供する顧客との約束である」と言っています。

 

マンガーさんからブランドのマネタイズ(貨幣価値化)について学んだバフェットさんは強いブランド力を持つことを、企業の長期的成長力を守る"堀(モート)"にたとえてきたと前回、お話ししました。

 

[PR] 7月23日 (火)  無料セミナー@幻冬舎(東京)
バフェット・ソロスの系譜を引き継ぐスパークスの「絶対リターン」の獲得手法

 

最近、このモート(堀)について、テスラのイーロン・マスクさんがバフェットさんに「堀だけでは駄目だ」と反論したそうです。

 

それに対しバフェットさんは、「経済的な堀はいまだ存在する」とし、事例としてシーズ・キャンディーを挙げたそうです。年初に、バフェットさんにお会いした時に、おみやげにシーズ・キャンディーをいただいた私には、この論争、バフェットさんに分があるように感じます。

 

このマンガに関連するコラムを見る

 

(2018年7月13日)

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

スパークス・グループ株式会社 代表取締役社長

北海道札幌市出身。上智大学経済学部卒。米ボストンのバブソンカレッジでMBA取得。

1981年、野村総合研究所に入社後、ニューヨークのノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルに出向し、米国の機関投資家向けの日本株のセールスに従事。1985年にニューヨークで独立し、ジョージ・ソロス氏から1億ドル(当時の為替レートで約200億円)の運用を任される。

1989年、日本でスパークス投資顧問(現スパークス・グループ)を設立。2001年に上場。2005年、ハーバード大学ビジネススクールでAMP取得。現在の投資対象は日本の上場株だけでなく、アジアの上場株、再生可能エネルギー発電施設や不動産といった実物資産、そして米国、イスラエル、日本などの未上場企業にまで広がってきたが、投資対象の価格と価値の差に着目し主体的に働きかける投資哲学は一貫している。

プライベートでは作詞、作曲、ギター演奏に加え、絵画も描く。

近著に『暴落を買え!-年収300万円から始める資本家入門-』(ビジネス社 2017/5/24)。

著者紹介

連載阿部修平の投資哲学~「バフェット・クラブの金言」より

このコンテンツは、投資勧誘を目的としたものではありません。また、このコンテンツに登場する企業名はあくまでも参考であり、特定の有価証券等の取引を勧誘しているものでありません。投資に関する決定はご自身の判断において行われるようお願いいたします。当コラムに基づいて取られた投資行動の結果については、スパークス・グループ株式会社、スパークス・アセットマネジメント株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。このコンテンツには、コンテンツ編集部制作担当者の見解が含まれている場合があり、スパークス・グループ株式会社およびスパークス・アセットマネジメント株式会社の見解と必ずしも一致しないことがあります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧