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アダム・スミスが説いた幸福の定義とは
近年、「バフェットクラブ」で、取り上げるようになったのはアダム・スミスです。
富が偏在する現代、日本でも6人にひとりの子供が相対的貧困状態にあると言われます。
こんな時だからこそ、急激な経済発展による経済格差が広がった18世紀に生きた「経済学の父」アダム・スミスに学ぶものがあるのではないかと、ひも解いてみたところ、正にそのような記述を見つけたのです。
大阪大学堂目卓生教授の「アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界」によれば、スミスさんは、幸福を次のように定義しているといいます。「幸福は平静とenjoymentにある。平静なしにenjoymentはありえないし、完全な平静があるところでは、どんなものごとでも、ほとんどの場合、それを楽しむことができる」。
「健康で、負債がなく、良心に恥のない人」が幸福
それでは、心を平静に保つために必要十分なものは何だとアダム・スミスは考えたのでしょうか。同著は「健康で、負債がなく、良心にやましいところのない人に対して何を付け加えることができようか。この境遇にある人に対しては、財産のそれ以上の増加はすべて余計なものだというべきだろう」と語ります。
この2つのスミスの引用は、共に、1759年に発表された「道徳感情論」からなされていることに堂目氏は注目しており、私も驚きました。アダム・スミスというと、1776年の「国富論」の「見えざる手」が有名で、市場原理が全てを解決してくれることを説いた人物というイメージがあります。しかし、その大前提としてスミスは、「道徳感情論」で、人間とは自分だけが幸せであればいいというのでなく、自分よりも困っている人に対するシンパシー(共感)を持つ存在だと定義しており、その前提の上で、人間同士が動き社会を形成すると、「見えざる手」が働き、社会全体の利益をもたらすと考えていたのです。
「道徳感情論」では、また、人間には一定以上所得が増えても幸福度が増大しないことを知っている賢明な人とより多くの富や地位が幸福度の増大につながると考える弱い人がいるとしています。ただ経済の成長は、より多くの富を追求する弱い人の存在によって、発展していく側面があると分析しています。
「世界を豊かに、健康に、そして幸せにする」
こうしたスミスの考えに刺激され、スパークスは、コーポレート・ミッションを、「世界をもっと豊かに、健康に、そして幸せにする」としました。資本の水先案内人として、お客様の資産を預かり、必要なところに導くことで、働く人たちも、社会も、そして、株主も幸せにすることができる社会を作りたいと、アダム・スミスの言葉に触発されてイメージを具体化することができたのです。
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(2018年7月20日)
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