スリランカ沖でガス田が発見され、スリランカで大きなポテンシャルをもっているとされるエネルギー資源分野ですが、石油大手企業が撤退するなど、計画通りには開発が進んでいません。スリランカの石油開発において重要な役割を果たすSaliya Wickramasuriya氏へのインタヴューを交えながら、スリランカのエネルギー資源開発の現状をお伝えしている連載の第5回です。

コストと時間がかかるガス田開発の採算化

2013年に開始した第2ラウンドを無事に終わらせ、Bonavista社に北海岸の石油と天然ガスの探鉱権を付与すれば、他の企業にCairn India社の後を継ぐことの自信を与えられる。

 

しかし、Cairn India社が発掘した天然ガスを採算が合う事業にしていくことは課題も多く、費用もかかるはずだ。マンナール盆地は深く、天然ガスは石油のように容易に移動させたり保管したりすることが出来ない。このようにコストがかかるため、スリランカはこの事業に見合ったリスク選好的な投資家を見つけることが求められる。

 

スリランカはガス生産に10億米ドル、盆地から西海岸にあるKerawalapitiya発電所へと引かれるパイプラインの開発に2億6,000万米ドルをかけることが必要だろう。石油業界を川上から川下まで強化していく場合、エネルギー庁の概算によれば、合計で36億米ドルは確保することが求められる。また、インドへとスマートグリッドを拡大する計画も立てており、その実現にはもう3億5,000万米ドルがかかる。

 

国内で取れる天然ガスは、市場に出るまでに少なくとももう3、4年はかかるだろう。天然ガスに関する政策をまとめることが必要だ。

莫大な利益を生み出す可能性もあるが・・・

PRDS(石油資源開発事務局)はこれに関し、やるべき準備はすべて終えている。その中には延期されている国内生産にかかるコストを中心とした広範かつ分野横断的な経済効果の研究も含まれるが、2015年1月に政権交代がおきるまで、これらの下準備は好意的に受け入れられることはなかったとWickramasuriya氏は話す。

 

「今の財務長官は、元は石油産業長官を務め、スリランカの新たな天然ガス政策の枠組みや骨組みを作るところで素晴らしい功績を残しています。このプロジェクトはもう完了すべきで、業界基準や世界的な慣習に対応することが出来るか試すべきタイミングにあります。なぜなら、それは投資保護とマーケットの方向性のいずれも含み、採掘セクターにおけるスリランカの魅力を決定づけるからです」とWickramasuriyaは続けた。

 

セイロン石油公社による発電所のいくつかは、低費用でガスに変換することができ、交通産業もガスから即座に恩恵を受ける業界だとみなされている。また余ったガスをインドへ輸出することも、大きな可能性を秘めている。スリランカの2つのガス田からの収益は推定120億米ドルにのぼるだろう。


最終回は、スリランカのエネルギー業界が発展するにあたっての課題をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「The Search for Credibility and Oil」を、翻訳・編集したものです。

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