スリランカ沖でガス田が発見され、スリランカで大きなポテンシャルをもっているとされるエネルギー資源分野ですが、石油大手企業が撤退するなど、計画通りには開発が進んでいません。スリランカの石油開発において重要な役割を果たすSaliya Wickramasuriya氏へのインタヴューを交えながら、スリランカのエネルギー資源開発の現状をお伝えしている連載の第3回です。

2年半も放置された石油探鉱権の入札

2013年の3つの入札は開札されるまで2年半放置された。開札し審査するよう内閣からの許可が下りたのは、2015年1月に政権交代してからのことだ。Cairn India社は除外され、Bonavista社による2つの入札のみが残った。

 

Wickramasuriya氏はこの件について次のように話す。「内閣による許可が最近下りたので、内閣による最終決定のための技術委員会の前に、開札作業を進めるべきです。おそらく2015年中に石油採掘関連の協定がいくつか締結されるのではないでしょうか。またCairn India社もこれまでの損失を軽減するために、可能な限りあらゆる手段でサポートすることに合意しています。」

 

また同氏は、仕事を探すためのキャパシティーがオーバーしている石油・天然ガス業界と、マルチ・クライアント方式でデータ収集調査を実施するための機は熟していると感じている。

 

「CGG社、Western Geco社、PGS社、Spectrum社、ON Geophysical社などいくつかの企業が、自費でも投機的な調査を実施することに関心があると正式に表明しています。その調査と内閣に対する提言も近いうちに承認される予定です」とWickramasuriya氏は説明する。

仏Total社との共同研究プロジェクトとは?

スリランカ財務省があらゆる場面でPRDS(石油資源開発事務局)を酷使したせいで2年以上も待ちぼうけを食らったのは、スリランカの次なる石油探鉱権を求めて入札した企業やデータ調査会社たちだけではなかった。

 

2012年、フランスのTotal社がスリランカと研究プログラムを共同で進めようとの話を持ち掛けてきた。東海岸の海底の3Dデータを収集するためにTotal社が莫大なお金を提供する予定だった。その代わりにTotal社は、該当エリアの採掘権入札に応じる期間は、そこで得られたデータを独占的に利用できる、という条件だった。

 

この話はその他の石油採掘会社の興味を惹く内容になったかもしれない。世界的に活躍する大手企業は、スリランカに熱い視線を送っていたからだ。しかしスリランカ財務省はこの動きも阻止した。それでもTotal社はまだ興味を示し続けている。

 

「内閣承認のTotal社との共同研究プログラムの最終案は、現在Total社側で入念に吟味されているところです。これもまた、2015年の第3四半期末までに話がまとまると予想されます」とWickramasuriya氏は言う。


次回は、スリランカの信頼性の回復を試みる取り組みをご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「The Search for Credibility and Oil」を、翻訳・編集したものです。

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