スリランカ沖でガス田が発見され、スリランカで大きなポテンシャルをもっているとされるエネルギー資源分野ですが、石油大手企業が撤退するなど、計画通りには開発が進んでいません。スリランカの石油開発において重要な役割を果たすSaliya Wickramasuriya氏へのインタヴューを交えながら、スリランカのエネルギー資源開発の現状をお伝えしている連載の最終回です。

独立した技術委員会がガバナンスを向上

スリランカにおけるエネルギー需要は、2040年までに6倍増加する見込みだ。前政府は石炭をより安価なエネルギー源として活用しようとしていたが、エネルギー庁は石炭では10~20%が燃焼後に灰として残り、「土壌と地下水に大量の有毒性のある重金属」が堆積すると警鐘を鳴らしていた。

 

暫定政府も石油資源開発委員会(Petroleum Resources Development Committee、以下PRDC)に助言する技術委員会の発足を望んだ。このPRDCは、暫定政府がエネルギー庁長官であるSuren Batagoda博士を任命するまでは、Lalith Weeratunga大統領府長官がトップを務めていた。また、PRDCのメンバーには、財務・防衛・環境・漁水業などの各長官も含まれている。

 

「この分野に関する専門家はあまりいませんが、世界中の石油・天然ガス業界にいるスリランカ人専門家とのつながりはあります。このネットワークを活かし、我々のキャパシティを構築し、最終的には国内で産業を完結できるように取り組んでいます。しかし、これを達成するための公式なプロセスはまだ決まっていません」とWickramasuriya氏は言う。

 

またWickramasuriya氏は技術委員会の存在は重要だと指摘する。なぜなら、技術委員会は独立した立場からPRDCに対し専門家の意見を提供することができるためだ。PRDS(石油資源開発事務局)から直接助言され、偏った考え方に影響されるより良いと言う。

 

「もし私たちの政党が政府の政策に影響を及ぼす唯一の党なのであれば、規制者としての私たちの独立性をあいまいにしてしまう状況が作り出されているでしょう。この独立した技術委員会はガバナンスのためには良い仕組みで、すべての大臣は不当な影響力を及ぼすことが出来なくなります。これが私達が思い描いた未来です。特に開発の初期段階に関してはこうあるべきでしょう。」

何より重要となる石油資源開発法・修正案の最終決定

スリランカの石油・天然ガス採掘に勢いをつけるために最も重要なのは、石油資源開発法の修正案を最終決定することだ。この修正案が可決すれば、PRDSには規制力・独立性が付与され、透明性を担保しながら公認で監督する立場を確立できる。

 

最後に、Wickramasuriya氏は次のように付け加えた。「私たちは少しずつそこに向かっています。最近、法務省から優先事項はこれではなく、これ以外の法案をまとめることが先だと告げられました。私たちはその発言を理解しますし、辛抱強くならないといけないと考えています。」

 

「しかし、新しい石油法案は単に良いだけでなく必要不可欠なものです。業界を成長させるためにはこの新たな法が必要なのです。行政上は、1ブロック1オペレーターで奮闘することもできますが、効率良く石油事業を段階的に改善していきたいのであれば、この新しい法が必要なのです。」

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「The Search for Credibility and Oil」を、翻訳・編集したものです。

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