現状では15%まで認められる政府出資
石油探鉱権を付与し、期日をとうに過ぎた競売ラウンドに終止符を打つことは、スリランカの信用を回復させるだけでなく、Wickramasuriya氏が考えるように、不調に陥っている世界中の石油業界に良いメッセージを送ることが出来るかもしれない。
PRDS(石油資源開発事務局)は、第2競売ラウンドで利益分配の仕組みを、投資乗数から一日の生産量ベースに切り替えた。このことで、生産物分与の軸はコストありきではなくパフォーマンスありきに変わり、石油会社は安心して波打つ海原の何千メートルも深いところに眠る炭化水素の発掘に、巨額な費用を投資できるようになると予想されている。
もうすぐ失効してしまうCairn India社との契約では、政府はそのプロジェクトの15%まで投資することが認められていたが、新しい契約内容では、さらなる負担が認められるので、より利益を得られる可能性がある。
このことについてWickramasuriya氏は次のように説明する。「現行の石油資源協定(PRA)では、政府は1ブロックにつき15%まで出資する権利がありますが、それは義務ではありません。出資によって政府はジョイント・ベンチャーの形で石油開発に携わるのです。」
「また、この権利はPRDSが開発者から提出されたガス田開発計画(Field Development Plan)を許諾してから365日以内に行使されなければいけません。その権利を行使した後、もし政府がお望みなら、将来の利益から負担すべきコストを支払うことも可能です。」
政府の出資比率を高めることで信用性を向上
「一方で政府は、現在進行している開発コストについては現金で賄う必要があります。そのため、パートナーになるという決断は財政への影響を及ぼし、計画は入念に立てられる必要があるでしょう。」
「国は、今後設立されるであろう国営の石油会社を通じ、より深く利害関係に踏み入れることになるでしょう。そのことはスリランカにコスト面での更なる影響を及ぼす一方、投資家の信頼を獲得する観点では良い効果をもたらすかもしれません」とWickramasuriya氏は語る。
「世界の石油業界の動向を見れば、リスクを自社で100%担おうとする企業はほとんどいないでしょう。前回のPRAの会計条項はより成熟した市場では容認できるのでしょうが、今は我々のリスク・プロフィールに最も合致するメカニズムを採用しています」とWickramasuriya氏は付け加えた。
次回は、スリランカにおける天然ガス事業の可能性についてご説明します。