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相続税対策の不動産投資…多くの地主が「後悔」している理由

近年の相続税課税強化の動きに焦り、誤った対策をとることで、資産を失う地主が増えています。本連載では、相続税対策としての安易な賃貸経営の危険性を指摘するとともに、その回避策を紹介します。

ほとんどのオーナーは十分な入居者を確保できない

アパート、マンションを建てて人に貸せば相続税を大幅に減らせます!

 

しかも安定した家賃収入も得られます!

 

賃貸経営は簡単に高利回りが実現できるビジネスなのです!

 

アパマンデベロッパーは、こうした景気のよい宣伝文句とともに相続税を気にかけている人達に熱心な営業攻勢をかけています。

 

そして、業者の巧みな営業トークに促されて、収益不動産の購入を安易に決めてしまう人が後を絶ちません。

 

しかし、相続税対策を目的に不動産投資を行っている人の中で実際に成功を収めて、「やってよかった!」と心から満足している人はおそらく1割にも満たないでしょう。ほとんどのオーナーは、賃貸経営をスタートしたものの、十分な入居者を確保することができず、「こんなはずではなかったのに・・・」と頭を抱えていることでしょう。 

 

アパート、マンションの建築・購入は確かに有効な相続税対策の手段になりえます。しかし、それはあくまでも、一つの“投資プロジェクト”として成り立つことが大前提になります。相続税の節税を目的とした不動産投資では、銀行から多額のローンを借りるのが一般的です。もしプロジェクトとして成り立たない場合には、つまりは投資した不動産から十分な収益を得ることができなければ、ローンの返済が難しくなり、最悪の場合、不動産を手放さなければならなくなるかもしれないのです。

 

現実問題として、今の日本の不動産市場では、”投資プロジェクト”として成り立つような物件が、すなわち「確実に入居者を確保できる」といえるアパート、マンションは圧倒的に少なくなっています。

 

つまりは、業者に勧められるがまま、何も考えずにアパート、マンションを建ててしまうと、後々、悔やむことになる可能性が極めて高いといえるのです。

相続税対策の賃貸物件が乱立、市場は供給オーバーに

では、なぜ賃貸事業をプロジェクトとして成功させることが難しくなっているのでしょうか。一言で言えば、目下、賃貸市場を取り巻く環境が、かつてなかったほど悪化しつつあることが理由にあげらあれます。

 

まず第一に、貸アパート、貸マンション等の賃貸住宅は現在、供給オーバーの状況に陥っています。

 

総務省が公表した「平成25年住宅・土地統計調査」によれば、平成25年時点で日本の賃貸住宅の空室率は18.9%となっています。同様の調査が行われた平成20年の数字と比べると、0.1ポイント増えました。

 

このように空室率が上昇している背景としては、相続税対策ビジネスが隆盛となる中で、誰もが手軽に賃貸住宅経営に取り組めるようになったことが指摘されています。つまりは、「相続税を少しでも安くできるなら」と我も我もとアパート、マンションを建てた結果として、需要が供給を上回ってしまっている状況となっているのです。

 

国土交通省が2018年1月に発表した「2017年(1月~12月)の建築着工統計調査」によると、2017年の年間の新設住宅着工戸数は、96万4641戸であり、2年連続で95万戸以上に達していますが、前年比としては、0.3%減であり、3年ぶりの減少となっています。

 

利用関係別の着工動向は下記の通りです。

 

①持家は28万4283戸で前年比2.7%減少

②貸家は41万9397戸で前年比0.2%増加

③分譲住宅は25万5191戸で前年比1.9%増加

④分譲住宅の内訳は、マンションが11万4830戸で同0.2%増加し、一戸建住宅が13万8189戸で同3.3%増加

 

このように持家の着工件数は減っているのに対して、貸家の着工件数は逆に増え続けているのです。

人口減少により、空室率は悪化の一途をたどる

今後、空室率がより一層悪化することは確実です。その最大の理由は「人口の減少」です。日本は、現在、以下のように①総人口の減少と、②年少人口の激減、③生産年齢人口の激減に直面しています。

 

①総人口の減少

これから、人口減少のピッチは上がり、2040年以降は毎年100万人以上の規模で人口が減るといわれています。その結果として、総人口は2030年の1億1913万人を経て、2053年に1億人を割り、2060年には9284万人にまで減少すると見られています。

 

②年少人口の激減

年少人口とは、15歳未満の人口です。出生数の減少に伴い、年少人口は2046年に1000万人を割り、2060年には791万人と、現在の半分以下になると推計されています。

 

③生産年齢人口の激減

生産年齢とは生産活動ができる年齢のことで、通常は15歳以上65歳未満を意味します。生産年齢人口のピークは1995年の8717万人から減少傾向にあり、2030年には6875万人、2060年には4793万人にまで減少するとされています。

 

このような人口の減少は言うまでもなく、マンション、アパートを借りる人の絶対数の減少をもたらすことになるでしょう。しかも人口の減少は世帯の減少も意味します。その結果、持家として使われている住宅が今後、空き家となるケースも増えるはずです。そうなれば、その中から賃貸に回される物件も数多く出てくるでしょう。

 

すると、貸家の供給過剰がさらに深刻化し、空室率がより一層アップすることが避けられません。このように、人口減少時代の中で、賃貸経営は負のサイクルに落ち込み、そこから抜け出ることができなくなる危険性が非常に高いのです。

 

 

福本 啓貴

株式会社イーミライ・ホールディングス 代表取締役

イーミライ・ホールディングス統括執行役員

最高経営責任者

株式会社イーミライ・ホールディングス 代表取締役
イーミライ・ホールディングス統括執行役員
最高経営責任者

平成6年、不動産業界に飛び込む。競売物件や権利関係が複雑な物件などの売買を通じ、着々と不動産コンサルタントとしての腕を磨く。平成15年独立。イーミライ・グループ各社を設立し、代表取締役に就任する。現在はイーミライ・グループ統括執行役員、最高経営責任者となり、数多くの相続対策を複数の専門家と連携をしサポートを行なっている。

著者紹介

連載地主を破滅に導く「危険」な相続税対策・・・アパ・マン建設の落とし穴

 

地主を破滅に導く 危険な相続税対策

地主を破滅に導く 危険な相続税対策

福本 啓貴

幻冬舎メディアコンサルティング

入居率、利回り、節税効果、不動産会社のセールス全てが嘘っぱち。地主の資産を狙う「相続税対策ビジネス」の実態と確実に資産を残す方法を徹底解説。

 

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