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家賃保証の約束を反故にされ…「サブリース契約」の訴訟事例

前回は、賃貸不動産経営でトラブルになりやすい「サブリース」の問題を取り上げました。今回は、実際にあったサブリース契約の訴訟事例を見ていきます。

「空室の有無にかかわらず、支払いを約束」のはずが…

今回は、サブリーストラブルの実例を見ていきます。

 

まずは、アパート・マンション・住宅等の建築・賃貸管理及び販売等を業とする一部上場企業α社に対する訴訟事件を取りあげましょう。

 

α社は、「一括借上げ」と称した次のような家賃保証を売りにしてアパート、マンションの営業活動を展開していました。

 

「オーナー様に建てていただいた賃貸住宅をα社が丸ごと借上げ、最長30年間に渡り、入居者募集から、管理・運営まで賃貸住宅経営を完全サポート。オーナー様の手を煩わせることもなく、空室の有無にかかわらず毎月お約束した一括借上げ賃料をお支払いするシステムです」。

 

また、同社のホームページでは、この一括借上げの実績も以下のように示されていました。

 

■物件オーナー数約2万名

■全国管理物件数3万5000棟以上、55万戸以上

■賃貸年間契約数約41万件

■企業の寮・社宅等による利用全国上場企業の約79.2%

 

こうした実績を額面どおり受けとる限りは、同社の「空室の有無にかかわらず、毎月の支払いを約束」という営業文句を何の疑問もなく鵜呑みにしてしまいそうです。

 

しかし、現実には、α社の言葉を信じて物件を購入したものの、家賃保証の約束を反故にされる例が全国で、数多く発生しています。30年保証されるはずだった賃料の減額を求められるケースが次々と起こり、トラブルとなっているのです。

 

以下の週刊誌の記事では、α社の社員がオーナーに対して賃料の減額を求めてきた様子を非常にリアルに生々しく伝えています(原文の実会社名はα社に変えています)。

 

2005年4月、新潟県の男性Aさん(85)はα社の営業担当者の訪問を受け、保有していた田んぼの土地でアパート経営を始めることを決めた。

 

α社はアパート建設を地主に提案し、「サブリース契約」をセールストークにして、売り上げを伸ばしてきた業界大手だ。

 

「相続税の節税対策にもなる」「損はしない」と言われたといい、約1億8千万円で物件を購入。銀行から1億5500万円の融資を受けた。

 

事業計画書に記載された10年間の収支計画によると、年間の借入返済額約680万円に対し、約1170万円の賃料収入があり、前払い家賃を支払い終えた6年目以降の年間収入は450万円になる計画だった。

 

「10年間は家賃収入が保証され、変動しないといったお話をされました」

 

Aさんの息子(58)はそう訴える。ところが、購入してから8年を過ぎたころ、α社の社員が自宅を訪れ、家賃の減額を言いだしたという。

 

「担当者から東日本大震災で会社の経営がうまくいっていないため、家賃収入を減額してほしいと相談がありました。今回減額しないと後で減額の金額が3倍になると言われました。『契約のとき、減額することは聞かされていなかった』と反論すると、『太陽光パネルを設置すれば減額はしない』と言われました」(前出のAさんの息子)

 

α社は、特別目的会社(SPC)を用いて、オーナーが所有する物件の屋根を借り、太陽光発電システムを設置する「屋根借り太陽光発電事業」も展開していた。だが、Aさんの息子によると、この話には“落とし穴”があった。

 

「担当者に『太陽光パネルを取り付けるのに追加費用がかかる。そちらで払ってほしい』と説明されました。そんなお金もなかったので、泣く泣く減額を受け入れました。『今日中に決めなければ、だめだ』と強引に迫ってきました」

 

Aさんらは減額分の返還を求め、訴訟することを検討しているという。

 

α社の一部オーナーによって14年に設立された「α社オーナー会」の前田和彦代表はこう訴える。

 

「会員など約200人に実施したアンケート調査で、契約時、約6割のオーナーが、『家賃が下がらないという説明を受けた』と回答しています」(『週刊朝日』2017年9月29日号「アパートローンで破綻「10年、家賃保証で損しない」「相続税対策」狙われる地方地主」より)

 

ちなみに、この同じ記事の中では、α社からアパートを購入したことが原因となり、破産した人の例も伝えています。そのBさんは、契約時に、α社の営業担当者から口頭で「10年間、月40万円の家賃保証」と「購入後5~10年の期間は無条件で契約時の購入金額で売ることができる特約」について説明を受けていました。

 

契約から8年を過ぎたころ、Bさんが担当者に対して購入時の金額でアパートの売却を申し出たところ、「そんなことできるわけがありません」と突っぱねられ、「証拠となる書類を見せてください」と言われました(しかし、その特約を示す書類はどこにもありませんでした)。そして、契約から10年を過ぎた後に、家賃保証の金額を17万円まで一方的に引き下げられてしまったのです。

 

自宅の住宅ローンを含めローンの支払額が月に30万円を超えていたBさんは、銀行への返済が困難になり、泣く泣く破産の選択を余儀なくされたのです。

被害者たちが「オーナー会」を立ち上げる動きも

α社のサブリースビジネスを巡っては、Aさん、Bさん以外にも、トラブルの“被害”を受けているオーナーが多数現れており、全国で次々と訴えが起こされているところです。

 

例えば、2017年2月23日付朝日新聞では以下のようなα社に対する訴訟の様子を伝える記事が掲載されています。

 

「家賃収入が10年間変わらない契約でアパートを建てたのに、6年後に減額されたとして、愛知県岡崎市の男性(80)が22日、サブリース大手「α社」(東京都)を相手取り、減額分の約81万円の支払いを求める訴訟を名古屋地裁半田支部に起こした。

 

訴状などによると、男性は愛知県知多市に2階建てアパートを建て、2005年1月に同社が一括で借り上げるサブリース契約を月額77万7800円で結んだ。契約前に同社は「30年間、賃料は減少しない」と説明し、契約書では「当初10年間は不変」と明記。だが、リーマン・ショックの影響による経営不振を理由に、同社から11年10月に約10万円の減額を求められ、男性は受け入れたという。

 

提訴を受け、同社は「見直しを要請して最終的に同意して頂いた。周辺相場の家賃が下落したので妥当な賃料に見直した。適法に行われたと考えている」とコメントしている」

(原文の実会社名はα社に変えています)

 

このような家賃減額分の支払いを求める訴訟のほか、α社に対しては付随のメンテナンス契約(家具家電、建物)に関する訴訟、プロパンガス工事代金に関する訴訟なども、他の被害者らによって行われています。

 

被害を受けたオーナーたちが「オーナー会」を立ち上げるなど、α社を告発する動きは時が経つにつれますます勢いを増しているところです。

株式会社イーミライ・ホールディングス 代表取締役
イーミライ・ホールディングス統括執行役員
最高経営責任者

平成6年、不動産業界に飛び込む。競売物件や権利関係が複雑な物件などの売買を通じ、着々と不動産コンサルタントとしての腕を磨く。平成15年独立。イーミライ・グループ各社を設立し、代表取締役に就任する。現在はイーミライ・グループ統括執行役員、最高経営責任者となり、数多くの相続対策を複数の専門家と連携をしサポートを行なっている。

著者紹介

連載地主を破滅に導く「危険」な相続税対策・・・アパ・マン建設の落とし穴

 

地主を破滅に導く 危険な相続税対策

地主を破滅に導く 危険な相続税対策

福本 啓貴

幻冬舎メディアコンサルティング

入居率、利回り、節税効果、不動産会社のセールス全てが嘘っぱち。地主の資産を狙う「相続税対策ビジネス」の実態と確実に資産を残す方法を徹底解説。

 

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