今回は、賃貸管理会社の力が問われる「入居者苦情の一次対応」の重要性について見ていきます。※本連載は、賃貸管理トラブル解決の達人、クマさんこと熊切伸英氏の著書『帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即応マニュアル』(株式会社 住宅新報出版)より一部を抜粋し、賃貸トラブル対処術を事例別に紹介していきます。

一時対応は「電話での遠隔操作」で終わらせる

管理を受託する場合、当然のことながら入居者からの連絡・苦情受付業務がメニューに入っています。受付窓口になるということは、単純に内容を大家さんに伝言すればいいわけではなく、ある程度は判断して対応してほしいという意味ですので、実は簡単なようで奥深い仕事なのです。

 

管理会社は常日頃、入居者から不具合の連絡や契約更新、退去等の事務連絡を受けています。その時の初回連絡を一次対応と言いますが、ほとんどの場合が電話です。

 

この一次対応でのトラブル解決のポイントは、入居者へ迅速な対応を説明し、「電話での遠隔操作」で終わらせること。それができれば大家さんの出費を抑えるために有効なテクニックとなりますので、大変重要です。下の図表に押さえておくべき項目を挙げていますので、参考にしてみてください。

 

[図表]一次対応のポイント

※対応業者には必ずお客様に電話を入れるよう念押しする。
※対応業者には必ずお客様に電話を入れるよう念押しする。

一次対応での「解決テクニック」を磨く

つまり、一次対応の段階で大切なのは、「電話の指示のみで対応方法を伝える能力」です。

 

その場合、即、業者に修理を手配する管理会社と「電話1本で解決できることが多い」管理会社とでは、大家さんの出費が変わってきます。例えば、不具合の修理依頼を受けたとすると次のような対応が発生します。

 

①内容を確認する。

②対応方法を伝える。

③修理の必要があるか判断する。

④大家さんへ連絡する。

⑤自社で現地対応か修理業者へ手配するか判断する。

⑥入居者に過失があれば、費用負担が発生する可能性があることを伝える。

⑦不具合を修理する。

⑧修理の確認と大家さんへ報告・請求する。

 

基本的なことに関しては、前著の『助けてクマさん!賃貸トラブル即応マニュアル』でも書かせていただきました。より早く直る可能性があるため、「入居者に対応してもらう」とよいでしょう。もし、一次対応の段階で完了できれば、「入居者」「管理会社」「大家さん」の三者にメリットがある話ですので、遠慮せずにチャレンジするべきです。一次対応での解決テクニックを磨くことは、入居者のためだけでなく、大家さんのためにもなり、管理会社の効率をよくすることにつながります。

本連載は、2018年2月19日刊行の書籍『帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即応マニュアル』(株式会社 住宅新報出版)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即応マニュアル

帰ってきた 助けてクマさん! 賃貸トラブル即応マニュアル

熊切 伸英

株式会社 住宅新報出版

初版『助けてクマさん! 賃貸トラブル即応マニュアル』発刊から7年。 賃貸管理トラブル解決の達人、クマさんが帰ってきた! 長年の経験に基づく、現場に役立つリアルな事例を交えた賃貸管理トラブル解決のヒントを伝授!

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