本連載では、株式会社中央プロパティー代表取締役社長で、住宅ローンアドバイザー、相続アドバイザーでもある松原昌洙氏の著書、『相続の落とし穴! 共有名義不動産』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、「共有名義不動産」のトラブル対策を事例を交えて見ていきましょう。

お金と直結する収益不動産は様々なトラブルのもと

本連載では、アパートやビルやマンションなど、家賃収入を得る目的で所有している共有名義不動産に関するトラブルと解決事例を紹介しましょう。

 

「不動産投資なんて自分とは無縁の話だ」と感じる方もいるかもしれませんが、今は収益不動産を持っていない方でも、後々所有する可能性も捨てきれません。古くなった空き家をリノベーションし、収益不動産として共有することがあるかもしれません。

 

第三者との共有がきっかけでなくても、自己資金なり銀行の融資を受けるなりして、相続した不動産を有効利用しようと決意する日が来るかもしれません。

 

ただその不動産が共有物であったとき、トラブルの元になってしまうリスクは事前に考慮しておくべきでしょう。

 

収益不動産はお金と直結していますし、他者と貸借関係を結ぶものですから、ただでさえトラブルになりやすいのです。これに共有関係という要素が加わったら、問題が起きないことの方が珍しいかもしれません。

 

実際にどんなトラブルが起こるのか。共有名義の収益不動産に起こる3大トラブルを紹介します。

誰も収益不動産の「管理者」になりたがらない

収益不動産を共有したときに必ず直面する課題が管理者の選定です。

 

「きょうだい3人でマンションを相続することになった。さて誰が管理する?」

 

と話し合ったところで、「では自分が」と率先して手を挙げる共有者はまれではないでしょうか。管理者にはさまざまな負担と苦労があり、相応の責任も問われる存在だからです。

 

管理者はまず自分でマンションの管理そのものを担当するのか、それとも不動産会社などに依頼するのか、さらに、依頼するとしたらどこの会社がふさわしいか、決めないといけません。

 

決めたら、家賃や敷金や保証金も設定し、修繕やリフォームのタイミングを見越し、資金を確保するプランを立てないといけません。

 

また、共有者間での信頼関係も問われてきます。「毎月バラバラの金額が振り込まれているが、果たしてきちんと会計できているのか。自分が損をしていることはないだろうか」という疑問を他の共有者が抱いたら、管理者との間に亀裂が入るきっかけにもなりかねません。管理者は定期的に共有者へ情報を提供する責務を担うことになるでしょう。

 

その他にも多種多様な雑務が管理者に与えられることになります。他の共有者たちに信頼されていることは前提として、責任感が強く、細かいところまで配慮でき、お金のやりくりや交渉が得意な方でないと難しいでしょう。

 

この管理者の選定を慎重に行わないと、トラブルの元となってしまいやすいのです。

 

この話は次回に続きます。

 

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