前回に引き続き、共有名義の収益不動産に起こる「3大トラブル」を紹介します。今回は、家賃と経費関連のトラブルについて見ていきましょう。※本連載では、株式会社中央プロパティー代表取締役社長で、住宅ローンアドバイザー、相続アドバイザーでもある松原昌洙氏の著書、『相続の落とし穴! 共有名義不動産』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、「共有名義不動産」のトラブル対策を事例を交えてご紹介します。

「家賃の設定額に疑問」「分配額に納得がいかない」…

前回の続きです。収益不動産における最も多いトラブルといえば家賃絡みのものになります。

 

「家賃の設定額に疑問」

「家賃をもらえていない」

「分配額に納得がいかない」

 

収益不動産はその名の通り収益を得るための物件です。終始お金が絡んでくるのですから、お金に関わる不満をきっかけにトラブルとして発展している事例は、後を絶ちません。

 

家賃収入の分配は、持分比率が原則。3人で3分の1ずつの持分で共有していたら、もらえる家賃も3分の1ずつの均等割です。

 

しかし、ここに加減要因は見込まれるでしょう。例えば賃貸に関する諸々の責任を負っている管理者は、手数料として少し取り分を上乗せするといった具合です。この辺はしっかり協議して事前に決めておきましょう。

 

いうなれば、家賃の分配を事前に協議し書面として残しておけば、この手のトラブルは発生しないことになります。不透明感をなくすことが肝心です。

修繕費や税金を「誰が負担するのか」も争いの原因に

入ってくるお金でモメることもあれば、出ていくお金でモメることもあります。

 

不動産経営には修繕費やリフォーム費や各種税金などなど、何かとお金がかかるものです。それらの出費を共有者間でどのように負担するのかの詳細は、トラブルの元になりやすいので必ず事前に決めておきましょう。

 

これも基本は家賃と同じで持分比率に応じるのがよいでしょう。ただ問題となるのは「その出費は本当に必要経費なのか?」という点です。

 

「壁の修繕をそろそろしないと」

「いやいやまだ大丈夫だろ。出費はできるだけ抑えよう」

「でも壁が汚れていたら入居希望者が減るかもしれないし」

「安全性が保証されていれば、多少見栄えが悪くても入居はつくさ」

 

といった議論が共有者間で交わされることもあります。議論が平行線をたどることのないよう、経費を捻出するスパンや用途まで決めておくと、後々の議論交渉が円滑になります。

 

一番手っ取り早いのは「経費については管理者に一任」と書面に明記し約束し合うことです。

それでも発生する予期せぬトラブル

家族だからといって決めるべき事項をあいまいにしておくと、後々面倒なことになってしまいます。これが共有名義不動産のウィークポイントなのです。とにかく事前にしっかり話し合っておくことが重要です。

 

しかし、これだけ準備をしていても、共有関係によるトラブルは起きてしまうものです。

相続の落とし穴! 共有名義不動産

相続の落とし穴! 共有名義不動産

松原 昌洙

合同フォレスト

相続後に誰にでも起こり得る不動産のトラブルを回避せよ! 相続後に共有名義不動産を持った方、これから持つ可能性のある方へ、実際のトラブル事例と、その解決方法を大公開! 最初は些細な問題でも、時間の経過とともにみる…

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