ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットに代表される世界の富裕層の多くは、自らの資産を活用して「財団」等を立ち上げ、社会問題の解決に挑むなど、積極的な社会貢献活動を行っています。日本ではまだあまり浸透していない社会貢献活動の可能性について、ファンドレイジングアドバイザーの肩書きを持つ宮本聡氏が解説します。今回は、なぜ「NPO法人」の必要性がクローズアップされたのかを探ります。

1995年の「阪神・淡路大震災」が契機

1995年1月17日、午前5時47分に最大震度7の都市直下型地震が兵庫県南部地方で起き、死者6434名、負傷者行方不明者4万3792名、全半壊住宅24万9180棟(2005年調べ)という大惨事になりました。

 

この震災の発生後、最初の1ヶ月は1日で2万人、2ヶ月で延べ100万人以上のボランティアが活動したと言われています。

 

この時、それまで主としてボランティアに携わってきた人々とは異なる多くの市民が災害ボランティアとして参加したため、同年は「ボランティア元年」と呼ばれています。日本では、この1995年の阪神・淡路大震災を契機に、市民活動団体、ボランティア団体等で法人格の必要性がクローズアップされました。

 

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NPOは法人格を持つことで「信頼性」が高まる

特定非営利活動促進法(NPO法)は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与する等により、ボランティア活動をはじめとする、市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、1998年12月に施行された法律です。この法律に基づき法人格を取得した法人が特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という)です。

 

特定非営利活動とは、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」「社会教育の推進を図る活動」「まちづくりの推進を図る活動」などの20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とします。

 

NPOは法人格を持つことにで、法的・社会的な位置づけが明確になり、法人の名の下に取引等を行うことができ、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。

 

[図表1]特定非営利活動法人の活動分野の種類

内閣府NPOホームページより、筆者作成
内閣府NPOホームページより、筆者作成

 

こうして生まれたNPO法人は、徐々に社会に定着し、今では法人数も増加してきました。NPO法人の数は、2017年3月末で51,872団体(内閣府NPOホームページより)、公益法人(社団法人と財団法人)は合わせて9,548団体、一般法人(社団法人と財団法人)は合わせて10,912団体あります(公益法人協会非営利法人データベースシステム“NOPODAS(ノポダス)”より、2018年5月時点)。

 

2001年度の税制改正では、NPO法人への寄付を促すことにより、NPO法人の活動を支援するために設けられた「認定特定非営利活動法人制度(以下、「認定NPO法人制度」という)」が創設され、個人及び法人が認定NPO法人等に寄付を行った場合は、税制上の優遇措置が適用されることになりました。

 

さらに2011年6月には、法人の財政基盤強化につながる措置等を中心とした大幅な法改正が行われています(2012年4月1日施行)。

 

[図表2]特定非営利活動法人の認証・認定数の推移

(出所)内閣府NPOホームページ
(出所)内閣府NPOホームページ

 

 

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