ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットに代表される世界の富裕層の多くは、自らの資産を活用して「財団」等を立ち上げ、社会問題の解決に挑むなど、積極的な社会貢献活動を行っています。日本ではまだあまり浸透していない社会貢献活動の可能性について、ファンドレイジングアドバイザーの肩書きを持つ宮本聡氏が解説します。今回は、そもそも「NPO」とはどういう団体なのかを説明します。

人口が減少する日本…今後「NPO」活動が重要に

人口減少や少子化・高齢化により、社会構造が大きく変化している日本。社会課題が多様化するこれからの日本社会では、行政だけで公的なサービスを担うことは難しく、NPOが重大な役割を担うことが期待されています。

 

NPOという言葉、日本でも全く知らないという人は少なくなりましたが、世間に正しく理解されていないという実情は否めません。「NPOとは何か」と尋ねると、返って来る回答は「ボランティア団体」「もうけてはいけない」「よくわからない」「うさんくさい」など、その答えはさまざまです。

 

たしかにNPOでボランティア活動をしているところも多く、NPO法と呼ばれる非営利活動促進法ができるきっかけとなったのは阪神・淡路大震災でのボランティア活動ですから、一般の方にNPOとボランティア活動が同じと誤認されるのも無理はありません。

 

NPOの世界でよく語られる話で、「株式会社○○○が何か不祥事を起こした時には『○○○の不祥事!』と報道されるのに、NPO法人△△△が不祥事を起こすと『NPOの不祥事!』と報道されるのはなぜだろう?」というものがあるのですが、世間一般に正しく認知されていない表れだと思っています。

 

NPOをできるだけ多くの人たちに正しく理解していただくために、今回はその実態についてご紹介します。

 

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NPO=非営利での社会貢献活動等を行う市民団体

NPOとは、「Nonprofit Organization(ノン・プロフィット・オーガニゼーション)」又は「Not-for-Profit Organization(ノット・フォー・プロフィット・オーガニゼーション)」の略で、日本語でいうと、「非営利団体」あるいは「非営利組織」です。

 

広義では、利益の再分配を行わない組織・団体一般を意味するため、特定非営利活動法人(通称NPO法人、以下「NPO法人」という)の他、非営利の要件を満たした一般社団法人や一般財団法人、公益社団法人や公益財団法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、協同組合、ボランティア団体や自治会なども含まれます。

 

狭義(一般的に呼ばれる定義)では、法人格に関わらず、非営利での社会貢献活動や慈善活動を行う市民団体のことをNPOといいます。

 

また最狭義では、1998年3月に成立した特定非営利活動促進法に基づいて、都道府県または指定都市の認証を受けて法人格を得た団体「NPO法人」のことを指します。

 

この辺の区別は、普通に生活している一般の方にはまったく意識されていないでしょうし、NPOで働く人たちの中にも時々、NPO法人のことだけがNPOだと誤認していて、法人格を持たない非営利団体の方が「うちはNPOじゃないから・・・」なんて言うケースもよく見かけます。

 

NPO法人はNPOの代表的な形態の一つだと認識しておいていただくとよいでしょう。

 

[図表]NPOとはなにか

筆者作成
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