ブロックチェーンの「3つの特徴」を活かすには・・・
ブロックチェーンの特徴をおさらいしながら、エネルギービジネスでの活用の可能性を考えます。
ブロックチェーンの仕組みのおかげで、改ざん困難な情報を作成できます。改ざんできないので、記載されている情報は誰かが途中で書き換えなどを行っていないと、誰もが信用することができます。私たちが1万円札を見て、「これは紙じゃなくて1万円札だ」と確信できるのと同じ感覚です。
したがって、
①離れた場所にいる個人同士の直接取引。
②契約提携の効率化や契約に基づく業務の自動化(スマートコントラクト)。
③自分たちで証明書や権利書が作成(新たな価値を生み出す)。
が可能になります。
個人間での電気売買や、外出先での電気購入が実現!?
この特徴をエネルギー分野でどう活かすことができるかを考えてみましょう。
①では、個人間での電気の売買や外出先で電気を購入することが実現するでしょう。なぜなら、販売者も購入者も、どれだけ電気の売買が行われたかをブロックチェーンを使った仕組みで正確に確認できるからです。将来的には、街中を走るEV同士で電気の融通をすることも可能になります。また、太陽光発電で電気が余った家庭と、電気を購入したい家庭とが電気を売買し合うことが可能になります。
②では、多くの情報を扱う電力会社の業務が効率化します。例えば、家庭や企業が電気の契約を切り替える場合、現在は多くの紙の書類に記入する必要がありますが、スマートフォンからワンクリックで契約の切り替えが可能になります。
業務を自動化してくれるスマートコントラクトは、電線や電気を計測するスマートメーターの故障発見にも役立ちます。故障の発生と同時に情報が関係者にタイムリーに自動通知されます。業務が効率化することで、コストを大幅に削減できます。結果として、私たちの電気代が下がることにつながります。
③では、発電所や機材の資産情報の記録に役立ちます。ここ数年、太陽光や風力の発電所の売買が盛んになりつつあります。太陽光発電や風力発電所を買収する際、買収価格を決定するために、これまでの発電実績や故障実績の確認が必要です。
売り手が提出する発電実績や修理の情報だけでは不充分なため、中立的な立場にある第三者に依頼して、再度調査をしてもらうのが一般的です。もし、過去の発電や故障実績がブロックチェーンの仕組みで記録されていれば、その情報を両社が信じられるので、これまでよりも速やかに買収交渉を進められます。
別の例として、太陽光発電施設の発電量の記録にも役立ちます。記録された発電量から太陽光や風力で発電されたという「環境価値」を計測し、証明書を発行します。環境価値は、これまでは正確な計測と証明に手間がかかる理由から、取引があまり活発化しませんでした。しかし、ブロックチェーンを活用することで、環境価値の取引市場の拡大が見込まれます。太陽光発電施設にとっては、新たな収益源になります。