前回に引き続き、エネルギービジネスとブロックチェーン活用の実現までのステップを説明します。今回は、セカンドステップとしてエネルギー企業・他業界企業の連携について考察します。※本連載は、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『ブロックチェーン×エネルギービジネス』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、ブロックチェーンとエネルギービジネスの組み合わせが持つ可能性と、「越えるべき壁」について見ていきます。
セカンドステップは「2025~2030年」ごろ
セカンドステップでは、次のような取り組みがあります。
①EVとの連携。
②蓄電池・家電製品などIoT機器との連携。
③エネルギー企業同士での直接取引。
セカンドステップでは、ブロックチェーンを活用し始めたエネルギー企業同士、エネルギー企業と他業界企業、エネルギー企業と個人がつながり始めます。
ファーストステップでは、自社完結でのブロックチェーンの活用がメインでしたが、セカンドステップでは、関係のある企業同士が、さらなる効率化やスピードアップを実現します。そのなかで、新しいビジネスモデルも生まれます。
紹介する事例では、電力会社とブロックチェーンのシステムを開発する会社や自動車メーカーなど、複数社が連携しているケースも多く見られます。
ブロックチェーンで「効率的なエネルギー消費」が実現
①は、今後急速に普及するEVとエネルギービジネスが融合します。EVの充電状況がモニタリングされ、EVを駐車すると電気が足りないときは自動的に充電・記録・課金されるサービスも生まれるでしょう。街中には多くの充電スタンドが設置され、そこでの充電情報は、ブロックチェーンで管理されます。
②は、蓄電池や家電製品などがインターネットとブロックチェーンによってつながり、家庭やオフィスでのより効率的なエネルギー消費が実現します。
③は、エネルギー企業同士の取引に仲介業者が介在することなく、直接取引が増えます。直接取引によりコスト削減が実現した分、電気代が安くなるという顧客メリットが生まれます。
この話は次回に続きます。
一般社団法人エネルギー情報センター
理事
富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクトなどに参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に起業後、RAUL(ラウル)社を設立。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、現職。
「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広く伝えること」「デジタルテクノロジーとエネルギー・環境を融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆・講演活動などを数多く実施。
主な著書にAmazonベストセラー第1位(エネルギー一般関連書籍部門)となった『エネルギーデジタル化の未来』(2017年、エネルギーフォーラム)のほか、『3時間でわかるこれからの電力業界―マーケティング編―5つのトレンドワードで見る電力ビジネスの未来』(2016年、good.book)など。
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連載エネルギービジネスを変える!? ブロックチェーンがもたらす可能性と「越えるべき壁」