今回は、ブロックチェーンはエネルギー領域にどのように浸透し、発展していくのかを考察します。※本連載は、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『ブロックチェーン×エネルギービジネス』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、ブロックチェーンとエネルギービジネスの組み合わせが持つ可能性と、「越えるべき壁」について見ていきます。

インターネットのビジネス領域への広がりに類似するか

ブロックチェーンはエネルギー領域に、どのように浸透・発展していくのでしょうか。その過程は、1995年ごろからインターネットがビジネス世界に浸透していったプロセスと似るのではないかと考えています。

 

1995年ごろからビジネスマンの間で「インターネット」という言葉を聞く機会が増えました。この年のWindows(ウィンドウズ)95の発売を契機に、企業でのインターネット環境が整い始めたからです。

 

インターネットは、社内での情報共有に活用され、業務の効率化やスピードアップ、重複業務がなくなることでのコスト削減を目的に活用範囲を拡大していきました。

 

加えて、1990年代後半から自社を紹介するパンフレット代わりに、企業のホームページが開設され始めます(1995年ごろは、大企業がホームページを開設したことが新聞記事になるほど珍しい時代でした)。この時期に企業は、インターネットがビジネスに影響があることや、どう役立てていくべきかを検討し始めたのです。

 

次に、2000年ごろから顧客や取引先である社外とのやり取りにインターネットを活用する動きが生まれます。

 

例えば、ネットショップやネットバンキング、口コミサイト、取引先との情報連携、マーケットプレイスです。インターネットインフラが社会に幅広く受け入れられ、顧客や取引先との双方向の情報のやり取りを通して、ビジネスでの効用が広く理解されるようになったのは、この時期です。

 

2010年前後からは、インターネット環境が整っていることを前提としたビジネスが成長します。

 

例えば、SNSや動画配信サービスです。代表的なFacebookやYoutube(ユーチューブ)は、世界中にインターネットでつながる多くの人がいることを前提に、ビジネスを運営しています。インターネット上の世界、いわゆる仮想世界で人と人のつながりが新しいビジネス領域を生み出し、日々発展しています。

 

[図表]インターネットのビジネスへの浸透のステップ

 

このように、インターネットは、時間の経過とともに社内での活用→社外との連携→新しいビジネスモデル誕生という流れで拡大していきました。

2020年までは、浸透までの「準備段階」

ブロックチェーンも同様のステップを踏みながら浸透していくと考えています。筆者は、ファーストステップは2020~2025年、セカンドステップは2025~2030年、サードステップは2030年以降と想定しています。

 

現在から2020年までは浸透までの準備段階、いわば黎明期といえるでしょう。個人や企業がブロックチェーン自体の理解を深めていく段階です。例えば、インターネットでは、ホームページやメールという言葉が少しずつ理解され始めた時期に当たります。

 

次回からは、各ステップでの事例の特徴を簡単に紹介します。

ブロックチェーン×エネルギービジネス

ブロックチェーン×エネルギービジネス

江田 健二

エネルギーフォーラム

インターネットの巨人、グーグルが創業して20年。インターネットは、あらゆる業界に影響を与え続けています。ビジネスを考えていくうえで、もはやインターネットを無視することはできません。そして、ブロックチェーンは、「イ…

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