今回からは、エネルギービジネスとブロックチェーン活用の実現までのステップを説明します。※本連載は、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『ブロックチェーン×エネルギービジネス』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、ブロックチェーンとエネルギービジネスの組み合わせが持つ可能性と、「越えるべき壁」について見ていきます。
2020~2025年までの実現を目指す取り組みは?
ファーストステップでは、次のような取り組みがあります。
①ビットコインなど仮想通貨の活用。
②スマートメーターなどの機器の効率化。
③ブロックチェーンの活用に関する基礎研究。
ファーストステップは、1つの会社で提供できるサービスやブロックチェーンに関しての基礎研究が挙げられます。
①は、ビットコインを活用して、電気の支払いをするなどの取り組みです。お客さんは、ビットコインで電気の支払いが当たり前のようにできたり、ビットコインを使ってエネルギーが不足している途上国の支援ができたりするサービスです。
ブロックチェーンで電力会社の契約切り替えを効率化
②は、業務の効率やスピードアップを目的とした試みです。例えば、エネルギーの使用量の計測にブロックチェーンが活用されます。
電気利用状況はスマートメーターで計測されますが、計測情報は中央のシステムに集められます。それに対して、ブロックチェーンベースで構築することで、より簡便に電気の利用情報を蓄積できます。これにより、電力会社の契約切り替えを効率化できます。現在は、切り替え期間として大体1カ月ぐらいかかります。
しかし、ブロックチェーンで情報を管理・共有することで、切り替え作業がスピードアップします。
同じくスマートメーターの情報を常に計測・監視することで、電線の故障などに早く気がつくことができます。将来的には、ブロックチェーンに記録される膨大な利用情報をAIで解析することによって、送電線の故障を予見することもできるでしょう。
③は、電力会社やガス会社が集まり、ブロックチェーンをどのように活用していくことができるかを広く議論する活動になります。
この話は次回に続きます。
一般社団法人エネルギー情報センター
理事
富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)に入社。エネルギー/化学産業本部(リソースグループ)に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクトなどに参画。アクセンチュアで経験したITコンサルティング、エネルギー業界の知識を活かし、2005年に起業後、RAUL(ラウル)社を設立。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、現職。
「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広く伝えること」「デジタルテクノロジーとエネルギー・環境を融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆・講演活動などを数多く実施。
主な著書にAmazonベストセラー第1位(エネルギー一般関連書籍部門)となった『エネルギーデジタル化の未来』(2017年、エネルギーフォーラム)のほか、『3時間でわかるこれからの電力業界―マーケティング編―5つのトレンドワードで見る電力ビジネスの未来』(2016年、good.book)など。
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連載エネルギービジネスを変える!? ブロックチェーンがもたらす可能性と「越えるべき壁」