本連載は、認定司法書士、行政書士、民事信託士として活躍する渡邉善忠氏の著書、『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』(キーステージ21)から一部を抜粋し、遺言書の書き方や生前の財産管理について、わかりやすく解説します。

お金持ちは「万が一」を想定した対策を行っている

本書『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』第1章でもお伝えしたように、家庭裁判所で調停等により遺産分割をしたケースの7割以上は、遺産総額が5000万円以下。さらに約3割が遺産総額1000万円以下の案件です。単純に、「お金持ちほどもめていない」という現実があります。それはなぜでしょうか?

 

実はそういった人たちほど、日ごろから万一の時のことを想定して、顧問税理士に相談していたり、金融機関などのセミナーで相続に関する情報をいち早く取り入れているからなのです。

 

遺産相続の際には様々なトラブルが起こりがち。それをなるべく防ぐためには、相続についての正しい知識と準備が必要だということは分かっていただけたかと思います。

まずは関連のセミナー等に参加してみる

でも、「いきなり遺言を書くのもな・・・」「家族に財産の話もしづらいし・・・」という方も多いことでしょう。では具体的にどんな準備をすればいいか。単純なことですが、まずは「やりやすそうなことから始めてみる」「自分が相続について考えていることを、何となくでも家族に知ってもらう」というのがいいかと思います。

 

具体的には、本書のような本を買って自室やリビングなどにそれとなく置いておくだけでもいいでしょうし、新聞や雑誌・銀行・保険会社などが主催している「相続」や「終活(「しゅうかつ」と読みます)」などのセミナーにぜひ参加してみてください。

 

セミナーについても、一回で全てのことを網羅しているセミナーというのは少ないですし、法律の話などは一度聞いただけでは覚えられないことも多いでしょう。ですから機会があれば、いろいろなセミナーに何回か足を運んでもらうのがよいかと思います。

 

例えば、最初は一人で行って、二回目は奥さんやご主人と行く。同年代のお友達を誘うのもいいでしょう。普段は友達同士で遺産の話もしにくいでしょうが、これをきっかけにちょっと話してみるだけでも、お友達の中に意外に相続に詳しい人がいるなど、新しい発見があるかもしれません。

 

セミナーで話す人も、法律に詳しい弁護士・司法書士や行政書士、税金に詳しい税理士、保険に詳しいファイナンシャルプランナーといろいろです。それぞれ話す視点が違っているので、聞き比べてみるといいです。専門家の人に会う機会があれば、分からないことも聞きやすいでしょうし、いざという時の人脈づくりにもなります。

 

弁護士・司法書士・行政書士・税理士・ファイナンシャルプランナーは、おもに書類をつくり手続きをする(契約をする)ことが仕事です。簡単な質問であれば、無料の士業も多いので、電話やホームページで確認するのがよいでしょう。

本連載は、2018年3月1日刊行の書籍『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』(キーステージ21)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー

最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー

渡邉 善忠

キーステージ21

「相続において、遺言は最強です!」 司法書士の著者が、具体的な事例を通してトラブル対策や相続の基本のキをお教えします。 将来トラブルにならないために用意できる「最強の遺言」とは何か? 残りの人生を明るく生きるた…

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