今回は、もめない相続のために、遺言書を作成すべき4つのケースを見ていきます。※本連載は、認定司法書士、行政書士、民事信託士として活躍する渡邉善忠氏の著書、『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』(キーステージ21)から一部を抜粋し、「遺言書」や生前の財産管理について、わかりやすく解説します。

「法定相続人」以外の人にも財産を残したい場合

相続でもめるのは、お金持ちだからではありません。個人的には、全ての方に遺言を書いておいていただきたいくらいなのですが、特にこんな方は・・・という場合をいくつかご紹介させていただきます。

 

ケース1 「孫に財産をあげたい」

 

孫、息子の嫁、甥、姪、内縁関係にある方、友人など、法定相続人としての権利がない方に財産を渡したい方。将来の教育資金や、お世話をしてくれたお礼、その方の将来のために使ってほしい・・・など、渡したい理由はいろいろ考えられると思います。そういった方は、すぐにでも遺言の準備をされることをオススメします。

 

ただし、法定相続人が何名かいる中で、これらの方に全部譲ってしまうのは、それももめる原因になります。法定相続人の権利は守ってあげた上で、これらの方「にも」財産を譲る・・・という形にしておいたほうが、受け取る側も素直に喜べると思います。

 

ケース2 「行方不明の息子にも財産を残したい」

 

行方不明の法定相続人や以前の配偶者との間に息子さん・娘さんがいる方も、「誰に何を残す」ということは、はっきりと遺言として記しておいたほうがいいです。それまで音信不通であっても、法律上の相続権がある限り、勝手に相続人から外すことはできません。それまでまったく連絡を取っていなかったのに、亡くなって急に現れて相続権を主張するというのも、十分にあり得る話です。

複数いる法定相続人の内の何人かと同居している場合

ケース3 「財産を子どもたちそれぞれに指定して残したい」

 

法定相続人が何人かいて、その内の何人かと同居している方。この場合、遺言がなく遺産分割協議をすることになった場合、遺産を分配するために住居を手放す必要が生じるかもしれません。それを防ぐために例えば、「不動産は○○へ、預貯金は△△へ」として、さらに遺留分対策(遺留分についての説明は、本連載第5回【2018年6月29日公開予定】で行います)としての現金も用意しておいたほうが、残された方が住むところに困らないということも考えられます。

 

ケース4 「相続させる人がいない」

 

独身の方や親族も亡くなって身寄りがない方。最近では、お世話になった街や団体、交通遺児や養護施設などに寄付をする方も増えています。実際に私も何件か対応させていただいたことがあります。単純に国に納めるよりも、お金の使われ方がはっきりしているのでいいという方も多いです。

本連載は、2018年3月1日刊行の書籍『最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー』(キーステージ21)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー

最強の遺言 相続・遺言まるわかりセミナー

渡邉 善忠

キーステージ21

「相続において、遺言は最強です!」 司法書士の著者が、具体的な事例を通してトラブル対策や相続の基本のキをお教えします。 将来トラブルにならないために用意できる「最強の遺言」とは何か? 残りの人生を明るく生きるた…

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