「法定相続人」以外の人にも財産を残したい場合
相続でもめるのは、お金持ちだからではありません。個人的には、全ての方に遺言を書いておいていただきたいくらいなのですが、特にこんな方は・・・という場合をいくつかご紹介させていただきます。
ケース1 「孫に財産をあげたい」
孫、息子の嫁、甥、姪、内縁関係にある方、友人など、法定相続人としての権利がない方に財産を渡したい方。将来の教育資金や、お世話をしてくれたお礼、その方の将来のために使ってほしい・・・など、渡したい理由はいろいろ考えられると思います。そういった方は、すぐにでも遺言の準備をされることをオススメします。
ただし、法定相続人が何名かいる中で、これらの方に全部譲ってしまうのは、それももめる原因になります。法定相続人の権利は守ってあげた上で、これらの方「にも」財産を譲る・・・という形にしておいたほうが、受け取る側も素直に喜べると思います。
ケース2 「行方不明の息子にも財産を残したい」
行方不明の法定相続人や以前の配偶者との間に息子さん・娘さんがいる方も、「誰に何を残す」ということは、はっきりと遺言として記しておいたほうがいいです。それまで音信不通であっても、法律上の相続権がある限り、勝手に相続人から外すことはできません。それまでまったく連絡を取っていなかったのに、亡くなって急に現れて相続権を主張するというのも、十分にあり得る話です。
複数いる法定相続人の内の何人かと同居している場合
ケース3 「財産を子どもたちそれぞれに指定して残したい」
法定相続人が何人かいて、その内の何人かと同居している方。この場合、遺言がなく遺産分割協議をすることになった場合、遺産を分配するために住居を手放す必要が生じるかもしれません。それを防ぐために例えば、「不動産は○○へ、預貯金は△△へ」として、さらに遺留分対策(遺留分についての説明は、本連載第5回【2018年6月29日公開予定】で行います)としての現金も用意しておいたほうが、残された方が住むところに困らないということも考えられます。
ケース4 「相続させる人がいない」
独身の方や親族も亡くなって身寄りがない方。最近では、お世話になった街や団体、交通遺児や養護施設などに寄付をする方も増えています。実際に私も何件か対応させていただいたことがあります。単純に国に納めるよりも、お金の使われ方がはっきりしているのでいいという方も多いです。