従業員の行動に一貫性があれば、ブランド構築は可能
ブランド構築が上手にできている企業は、施策に一貫性があるために、ブランドイメージにも一貫性があります。テレビCMなどは顕著な例ですが、イメージの一貫性を保つための工夫が施されています。
ただし、どれだけ優れたイメージを構築できていたとしても、現場の対応が不十分であれば意味がありません。例えば、格好いいイメージをCMで訴求していても、実店舗がダサく、店員の対応がだらだらとしていたらどうでしょうか。一気にそのブランドに対するイメージはマイナスになるはずです。そこには一貫性がないからです。
逆に、大規模なプロモーションなどができない企業でも、現場の従業員の行動が一貫していれば、ブランド構築が可能であることをこの公式は示しています。つまり、「プロモーションをすることがブランディングである」というよくある認識は大きな誤解なのです。プロモーションも含め、そのブランドに関わる人すべてがブランドを生み出すと考えれば、ブランド構築上、一貫性がいかに重要であるかは自明なことと思います。
事実、ブランド価値がまたたく間に失墜してしまう事例は、これまでも数多くありました。公式はそれぞれの要素が掛け算となっています。これはつまり、どこかでマイナスが生じれば全体がマイナスとなってしまうことを意味しています。
[図表]ブランド構築の公式
B =( b × c )v
B:BRAND BUILDING(ブランド構築)
b:behavior(<従業員の行動・>態度)
c:communication(非人的な部分〈パンフレットやウェブサイト、プロモーションなど〉)
v:vision(理念・価値観)
「採用活動を有利に進められるのは、資金に余裕のある企業だけ」と誤解されている場合もありますが、どれだけ資金を投資して広告を打ったりイベントを実施したりしても、採用に関わる社員の対応が悪ければ、採用活動を成功させることはできません。
だからこそ、採用活動の全体最適を考えるうえで、一貫性を意識することが大切なのです。特に、インナーのコミュニケーションを含めて、従業員がブランド連想に寄与しているということの重要性をよく理解すること。採用市場という限定された環境だからこそ、短い期間で効果を出すために一貫性が大切になります。
一貫性を保ち、採用市場で有利に戦う中小企業は多い
採用活動に一貫性をもたせることで、候補者に持ってもらいたいブランドイメージを醸成しやすくなります。特に、知名度が高くない企業ほど、一貫性のある施策の連鎖が効力を発揮します。
一般に周知されていないにもかかわらず、採用市場の中でブランドイメージが分散してしまえば、応募者に魅力を感じてもらうことはおろか、社名さえ認知してもらえない可能性もあります。
たとえ資金に余裕がなくても、全体としてプラスになるような活動ができれば、大手企業にも太刀打ちできます。事実、採用市場で有利に戦いを進めている中小企業はたくさんあり、そのいずれにおいても、一貫性が保たれているのです。
「behavior(〈従業員の行動・〉態度)」「communication(非人的な部分〈パンフレットやウェブサイト、プロモーションなど〉)」「vision(理念・価値観)」というブランド構築における3つの指標を意識して、それぞれに一貫性を持たせるようにしましょう。