たくさん集めても、少ししか採用できないのでは非効率
極端な話、100人集めて100人採用できれば、それがもっとも効率的です。いくら1万人集めることができても、10人しか採用できないのであれば非効率です。時間やお金、労力などコストの無駄になります。
また、人を集めることばかりに意識を向けていると、質の高い人材を集めるという本来の目的が見失われがちになるのもマイナスな点です。とにかく人をたくさん集めてふるいにかけるといった発想では、いつまで経っても効率は上がりません。
結果として問われるべきなのは、途中経過でどれだけ人が集まったかではなく、最終的にどれだけ良い人材を採用できたかということです。
その点で言えば、採用過程において離脱者が出てしまうというのは、落ち込むべきことではなく、方法を改善するべきということになります。媒体を活用して大量の人を集めるのではなく、自社の理念に共感してくれる人を集めるという理念採用に切り替えることを示すサインなのです。
理念採用についてきちんと理解できていれば、たとえ途中で離脱する人がいたとしても、単純なマイナスとはなりせん。むしろ、理念に共感しない人が来てしまったと考え、やり方を改善すればいいのです。
効率的な選考とは、既存の採用手法に疑問をもつことがスタートとなるのです。
「理念型採用」にシフトすれば採用後の定着率も上がる
さらに発展させて考えていくと、採用をして人材を定着させること、また活躍人材を得るということが大事だと分かります。
能力のある人材をたくさん採用できても、その大半が辞めてしまっては意味がありません。結果的に、また同じだけの人材を採用しなければならないというのはまさしく非効率です。
同様に、採用した人材が定着してくれたとしても、自社が求めている活躍人材でなければ、あらためて採用しなければなりません。
このように、単純な母集団至上主義による採用には、非効率に陥るさまざまな落とし穴が隠されています。採用を短期的なスパンで考えていると、このような落とし穴に気づくことができません。
効率的な採用とは本来何かをきちんと考え、理念への共感という観点を維持しながら、長期的なスパンで採用を捉えていくこと、また定着や活躍という観点から採用を考えるという発想の転換が、効率的な採用の出発点となるのです。