多くの企業は採用に多額の資金を投資し、多くの応募者を集めていますが、思うような結果を得られていません。一部の大手企業以外では、質の高い応募者が少ないばかりでなく、内定辞退や早期退職の問題も抱えています。そこで本連載では、中小・無名企業でも、求める人材を効率的に獲得し、定着へ導くことができる「採用ブランディング」の戦略を紹介します。

採用におけるベストプラクティスを導き出す方法

採用は「マーケティング・ミックス」の発想を大いに利用することができます。具体的には、いわゆる「Integrated Marketing Communication(IMC:統合型マーケティング・コミュニケーション)」の考え方が、そのまま採用シーンにも活かせます。しかし残念ながら、この発想で採用活動を行っている企業はほとんどありません。

 

例えばマーケティング・ミックスでは、さまざまな施策を最適な組み合わせでどのように実行できるか、という点が問われます。マスメディア(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞など)とインターネットメディアとのバランスを考慮することなどは、まさにマーケティング・ミックスの典型的な事例です。

 

それと同様に、採用においてそれぞれの施策をいかなる組み合わせで実行すればいいかということを、採用ターゲットおよび自社のコンセプトを軸に考えていく必要があり、それにより、採用におけるベストプラクティスが導き出されます。

コンセプトから逆算し、最適なアプローチを考案する

難しく考える必要はありません。これは商品やサービスを販売する際のマーケティングと同じです。

 

あらゆる商品やサービスをマーケティングの観点から検討してみましょう。それらはターゲットや市場、コンセプトから逆算することで、最適なアプローチ(コミュニケーション手法)が考案されています。

 

採用活動においても同様です。個々の戦術をむやみに実行したり、コンセプトがないまま惰性で行ったりせず、戦略をもって最適化すればいいのです。

 

そうすることで、採用市場における企業の「ブランディング」を行っていくことができます。ただし、こう書くと、「ではどのようにメディアやイベントと各ツールを組み合わせればいいか」というように細かい手法を考えがちですが、それは時期尚早です。

 

まずはコンセプト。それに沿って、どんなメディアにすべきか。イベントに出るべきか。どんなツールにすべきか。それらをどのように組み合わせるべきかということをブレイクダウンしていくのが、遠回りのように見えて近道になります。それらについては後ほど詳しく解説します。

本連載は、2018年1月16日刊行の書籍『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング

「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング

深澤 了

幻冬舎メディアコンサルティング

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