専門知識・専門技術の有無と、ビジネスの成功は別問題
7万の中小企業・スモールビジネスを成長に導いたことで知られるマイケル・E・ガーバー氏は、著書『起業家精神に火をつけろ!』(エレファントパブリッシング刊)の中で起業家が陥る過ちについて指摘しています。
ビジネスを立ち上げる多くの起業家がスモールビジネスのままで終わってしまうのは、起業家が「職人」から抜け出すことができないからだというのです。
例えば、料理が好きな人がレストランを開業します。そして、毎日仕事に追われます。生活のためにすべての時間とエネルギーを注ぎ込むことになります。
それは、美容師や税理士や弁護士が独立するときも同じです。専門知識や専門技術を持っていれば開業をすることはできますが、そのこととビジネスを成功させられるかは、まったく別問題だといいます。
「職人」を脱するためには、経営者の視点が欠かせません。そして、経営者の視点を持つためには会社の数字を理解しなければなりません。多くの経営者は、会計の知識が欠けています。営業が得意な人は営業に集中していますし、技術者であれば技術開発に時間を奪われ、それ以外のことに無関心です。これでは経営者失格といってもいいでしょう。
プレイングプレジデントに足りないのは「インプット」
もう一つ、プレイングプレジデントに足りないのはインプットでしょう。
経営者として常にアウトプットすることを求められています。営業に行けば、自分の会社や商品についてプレゼンをして興味を持ってもらう。商品やサービスの改良が必要になれば、知恵を絞って工夫をする、常にアウトプットをしなければなりません。
その代わりにインプットをする時間がなくなっています。本来、インプットがなければアウトプットはできませんが、プレイングプレジデントは、これまで蓄積してきた知識や経験をなんとか絞り出してアウトプットを続けている状態なのです。
このままでは、いつかアウトプットができなくなってしまう日がきます。まずは1分間経営で会社の財務指標をインプットして、次の展開を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。