「反復」することで、データが潜在意識に記憶される
潜在意識を活用するには、いくつかの方法があります。引き寄せの法則などで知られる「ポジティブな考え、言葉」もそのひとつです。
いつもネガティブに考えたり、ネガティブな言葉を発したりしていると、潜在意識にそれが刷り込まれてしまい、悪いことを引き寄せてしまいます。逆に、ポジティブに考えて、ポジティブな言葉を発していれば、いいことが引き寄せられるというものです。
「反復する」のも潜在意識を活用する一つの方法です。
運転免許を持っている人は、教習所で初めて車を運転したときのことを覚えているのではないでしょうか。最初は何もかもが初めてなので、アクセルを踏むにもブレーキをかけるにもウインカーを出すにも・・・頭で一つひとつ考えて、体を動かしていたはずです。ときには、ウインカーを出したはずなのに、ワイパーが動いてしまったり──。
しかし、運転に慣れてくると、何も考えずに体が動きます。交差点が近づけば、ウインカーをささっと出せますし、アクセルもブレーキもスムーズに踏めます。
これも反復によって、潜在意識が車の運転を覚えたからです。私たちがときどき言う「体が覚えた」という状況は、潜在意識にしっかりと記憶された状態です。
会社の財務データも繰り返し見ていると、潜在意識にしっかりと取り込むことができます。ただ眺めているだけでかまいません。電車での移動時間など、少しリラックスできた状態で眺めるとより効果的です。潜在意識に取り込んだ情報は、必要なときに取り出すことができます。
タイミングのよい復習で「記憶の維持率」が上がる!?
「反復と記憶」が大きく関わっていることは、エビングハウスの忘却曲線でも知られています。ドイツの心理学者であるエビングハウスは、記憶と経過時間の関係を測定し「忘却曲線」を考案しました。
その方法は、意味のないアルファベットを被験者に覚えさせて、その記憶がどのくらい維持できるかを調べるというものです。結果、20分後に記憶を維持できていたのは58%でした。42%は忘れてしまったのです。
その後も時間とともに記憶を維持できる比率は下がっていきます。1時間後には44%、1日後には26%、1週間後には23%しか覚えていなかったのです。
ところが、タイミングよく復習をすると、記憶の維持率が驚くほど上がりました。さらに復習を繰り返すと、記憶が定着して忘れなくなることも分かっています。
繰り返し見るだけで効果があるの? と疑問に思った人も、「忘却曲線」のことを思い出していただければ、「反復」の効果を納得していただけるのではないでしょうか。
[図表] エビングハウスの忘却曲線