借り入れ残高の把握は「銀行交渉」を有利にする
前回の続きです。
では、会社のデータを記憶しておくと、どのようないいことがあるのでしょうか。
それは数え切れないほどあるのですが、分かりやすい例を挙げると、まず、銀行との交渉がしやすくなります。
例えば、銀行からお金を借りているとして、金利が何%なのか即座に答えることができるでしょうか。借り入れた当初は覚えているかもしれませんが、1年くらい経てば、誰でも忘れてしまいます。きっと借り入れ残高も把握できていないでしょう。
しかし、借り入れはときどき見直してこそ、有利に活用できるのです。仮に借り入れが2本あって、1本が残り3年、もう1本が残り2年だったとします。毎月2本分の返済をするのは楽ではありません。
そんなときには、決算書を持って銀行へ交渉に行きます。会社の業績がよく、決算の内容に問題がなければ、銀行の融資担当者も喜んで相談に乗ってくれるはずです。例えば、2本の融資を1本にまとめて返済期間を5年にしてもらうことができれば、毎月の返済はグッと楽になります。
実はこのような交渉は、銀行側からしても高評価です。なぜなら経営者が自社の財務を把握して、お金の管理をしっかりしているという証拠となるので、返済が滞るリスクが低いという判断に至るからです。
こうして常に銀行と関わりを持っておくことも重要です。普段は付き合いがないのに苦しくなったときに突然、「お金を貸してほしい」と言っても、銀行の融資担当者は手を差し伸べてはくれません。
銀行融資は、決算書を分析したスコアリングだけで判断
私の会社は、財務コンサルタントの力を借りながら四半期に一度は銀行と交渉をします。銀行の融資担当者も四半期に一度融資成績の評価があるので、そのタイミングで交渉をすれば、いい条件で借り換えができる可能性もあります。
リーマンショック後に銀行の貸し渋りが問題になりましたが、最近は金融庁が目を光らせています。ですから、銀行もお金を貸したいのは確かなのです。
しかし、安心して貸せる相手はなかなかいません。最近、銀行は「事業の将来性を見極めて融資をする」という姿勢を打ち出していますが、それは簡単なことではないのです。現場ではこれまでどおり、決算書を分析してスコアリングだけで判断しています。
ということは、決算書のスコアをある程度クリアできれば、貸し出しに前向きになってもらえるのです。それを意識していれば、会社の経営に関するお金の心配は少なくなります。そのためにも、1分間経営は非常に効果的なのです。