財務指標のチェックには、時間と手間が必要だが・・・
「朝早くから夜遅くまで仕事に時間を追われて、いつもクタクタ」
「もう何年も休みが取れず、家族から愛想を尽かされそう」
そんなプレイングプレジデントも多いのではないでしょうか。
しかし、「1分間経営」を実践すれば、信じられないほど多くの自由な時間を手に入れることができます。
会社を持続的に成長させていくために経営計画が必要であることは前述のとおりです。予算を立て、実現するためには〝戦略〟が必要です。戦略を練るためには、今の会社の状況をすみずみまで把握しておく必要があります。
私自身も、以前は会社の財務指標をチェックするために、エクセルで作ったデータを持ち歩いていたこともあります。経理担当者にプリントアウトをしてもらって、「空いた時間にチェックしよう」と思ってカバンの中に入れていたのです。しかし実際は見ませんでした。カバンから出すのが億劫で結局目を通さなかったのです。
数字の並んだデータを読みこなすことは簡単ではありません。しかも外出先でチェックする場合、分からないことがあっても「これってどうだった?」と経理担当に気軽に聞くこともできません。
会社に戻ってから聞こうと思っていると忘れてしまいます。結局、経理担当と顔を突き合わせて数字とにらめっこしなければ、なかなか財務指標をチェックすることはできないのです。
目の前の仕事に追われては、会社の成長はかなわない
ひと通りチェックするのに、少なくとも2時間くらいはかかるでしょう。それが1分でできたらどうでしょうか? それも移動時間にです。
そうなれば、約2時間の自由時間が生まれることになります。息抜きに映画を観ることもできますし、友人や知人と食事することもできます。趣味に時間を使ってもいいでしょう。
優秀な経営者は、自分の時間も大事にしています。常に目の前の仕事を処理することに追われていては、会社を成長させることはできません。そしてなによりも、仕事に追われている状態は経営者自身が楽しくないはずです。仕事に追われるのではなく、夢を追いかけられる環境をつくらなければなりません。
テレビなどを見ていると、日本を代表する企業の経営者が日常の生活を少しだけ公表していることがあります。
「あの経営者は、朝からランニングをして、夜は会食、休日には趣味を楽しんでいる。いつ仕事をしているんだろう?」と思うことがあるでしょう。そういう経営者を見て、「彼自身がもともと優秀なんだ」「きっと大企業の経営者だから優秀な部下が全部やってくれているんだ」と自分を納得させているのではないでしょうか。
ところが、決してそんなことはありません。彼らは時間を有効に使い、効率的に仕事をこなしているだけなのです。生まれつきの頭のよさや勉強ができるかどうかは、ほとんど関係ないのです。
起業して事業が安定してくると、その状況に満足してしまう中小企業の経営者も多いと思います。実際、日本一の会社にしようとか、グローバル企業に成長させようとか、大きなビジョンを描いている人はとても少ないのです。これは非常にもったいないことであると私は考えています。
起業をした時点で、すでに多くのサラリーマンにはできないことを成し遂げています。あと少しの工夫で、会社を成長させ、従業員を幸せにしたり社会に貢献し得る事業を拡大したりすることができるのにです。そしてなによりも、経営者本人とその家族を幸せにすることができるのです。