40代以下の若い年代の発症率は少ないが・・・
これまで、白内障は高齢になるとほぼ全員がかかる病気との前提で解説してきました。それでは若い世代はまったく心配がないのか、というとこれも答えはNOです。
確かに、高齢者と比べれば40代以下の若い年代の発症率は少ないのですが、外傷や他の病気を引き金に白内障が発症する可能性があります。
特に目立つのは、アトピー性皮膚炎を誘因とするケースです。アトピー性皮膚炎の患者さんで、皮膚をかくと傷がつくからと、たたくことでかゆみを和らげようとする人がいます。目の周りやまぶたの上をたたくと、それが水晶体へのダメージとなり、外傷性の白内障を起こすことがあります。
また、多量のステロイド剤を長期間にわたり使用することも、白内障の要因になる可能性がありますが、昨今は皮膚科医の指導のもと、適切な使用が徹底されてきており、発症頻度は高くありません。アトピー性皮膚炎の患者さんの場合、ステロイド剤が原因の白内障よりも、目をかいたりたたいたりすることで起こる白内障のほうが圧倒的に多く見られます。
レジャーやスポーツ等でのアクシデントで目にダメージを受け、白内障となるケースもあります。また、先天性の要因によって、若い年齢で白内障となることもあります。
世代問わず、目に違和感があれば「眼科の受診」を
このように、まだ若いからといって白内障にかかるリスクはゼロではありません。もし、目がかすむ、急に見えにくくなった、強いまぶしさを感じる・・・といった何らかの違和感があったら、若い方でも眼科を受診することをおすすめします。
若い方がアトピー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎があって、目のかゆみや充血などの症状で眼科を受診し、白内障が見つかったケースもあります。白内障だけでなく、網膜剥離など深刻な目の病気が発見されることもあります。アトピー性皮膚炎の方は網膜剥離になることもあるのです。
ちなみに、企業や自治体の目の検診には、白内障の項目はありません。しかし緑内障や網膜の病気の早期発見を目的とした眼底写真を撮影したところ、写真がはっきり写らないので白内障が疑われて眼科受診をすすめられることがあります。水晶体が濁っていると、その奥にある眼底の写真が鮮明に写らなくなるためです。