100%合併症なく手術するのは、どんな名医でも不可能
たくさんの手術のスキルを積んだ、熟練した医師のもとには、一般の眼科では手術を断られるような難しいケースの患者さんが集まります。眼科医にとって「手術の難易度が高い症例」とは、すなわち「合併症のリスクが高い症例」ということです。どんな症例であっても100%合併症なく手術を行うことは、どんな名医であっても不可能です。
それ故に、長い眼科手術の歴史のなかで、世界中の眼科医たちは研究を重ね、その技術力を高め、装置や器具もより良いものにバージョンアップされてきました。すべては患者さんに負担の少ない、そして合併症のリスクを抑えた手術を行うための取り組みです。
その結果、今では白内障の手術は格段に進歩をしましたが、それぞれの目にはさまざまな特徴があり、合併症のリスクはゼロではありません。現在の眼科医という人の手による手術法では執刀医の経験と、それによって得た勘に頼る部分で精度が左右されます。
どんな名医が執刀しても、医師も人間ですから、手術時の目の構造の距離や深さの判断を目測で判断している以上、精度には限界があります。さらには人の手先の動きも同様に細かいコントロールには限界があります。
いつ受けても、誰が受けても、正確で精度の高い手術を行うには、人の手による術式ではある程度のところで限界があるのです。
視覚が、聴覚や触覚などのあらゆる人間の感覚のなかでもっとも重要な位置を占めることはいうまでもありません。毎日の生活を送る上で重要な視覚を担う目の手術は、そのごくわずかな狂いがその後の日常生活に大きな影響を及ぼしかねません。
しかし白内障手術の歴史が始まって以来、現在まで行われている人の手で行う白内障手術では、このような見解から見れば限界が見えているのです。
人の手では成しえない精度で手術を行う「レーザー」
リスクを少しでも減らしたいなら、「上手な医師に手術をしてもらいたい」とか「より安全な方法で手術してもらいたい」と思うのは自然なことです。しかし上手な、といっても、手で手術する以上、完璧である保証は望めません。
となると、方法論で、より良いものを求めていくしかありません。つまり「手で手術する方法」より精度の高いものはないか、ということになります。
こうした人の手による手術に代わる白内障手術方法として開発されたのが「フェムトセカンドレーザー白内障手術」、通称「レーザー白内障手術」です。いままですべて人の目で見て人の手で行っていた白内障手術の工程のうち、角膜切開や水晶体前嚢切開、水晶体核分割という重要な部分を、フェムトセカンドレーザー白内障手術器機によってレーザーで行う、高いテクノロジーを駆使した新しい手術法です。
フェムトセカンドレーザー白内障手術では、OCTという3次元画像解析装置を用いることで、レーザー照射を1000分の1㎜単位という人の手では成しえない精度にて行うことができます。