今回は、銀行の業界用語、「裸」貸しについて見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

「裸」貸しとは、担保なしの融資のこと

銀行を舞台にした小説や、銀行マン向けの書籍を

読んでいると、業界特有の用語が出てきます。

その言葉の意味を知るほどに、銀行はつねに、

いかにして自分たちの立場を有利にしようとしているか、

しか考えていない、ということがわかってきます。

 

①「裸」(はだか)貸し

 

「あの会社、“裸”はいくらだ?」

元銀行マンの書いた小説には、このセリフがよく登場します。

これは、

「あの会社に、担保なしで貸しているお金はいくらだ?」

という意味です。

 

担保なしで融資していることを、「裸」(はだか)貸し、

と言うのです。

担保なく、「裸」で貸すことは、

銀行にとってはリスクがある融資だ、ということです。

回収の危機に陥った時、「裸」貸しがあると、

回収不能の可能性が出てきます。

そうなると、

担当者やその上司、支店長の個人成績に響くのです。

なので、融資の際には、とにかく担保を要求してきたのです。

 

しかし、それも融資があっての話しです。

今や融資そのものが、他の銀行との奪い合いです。

「うちなら担保なしでお貸ししますよ!」

と、「裸」貸しが当たり前のようになってきました。

何事も、競争が過剰になると、安売りするしかないのです。

裸貸しが当たり前でも、なるべく担保をとりたい銀行員

なのに、いまだに「お金を借りるには担保がいる」

と思い込んでいる経営者もいます。

「今はもう、担保なしで借りれる時代ですよ!」

と言っても、

「いや、うちにくる銀行員は、

担保がなくては貸せない、て言いますよ。」

と反論する方がいるのです。

「それは社長がそう思い込んでいるだけですよ!

 ところで何行と取引しているんですか?」と尋ねると、

「1行です。」と返ってきました。

 

結局、昔からのつきあいだから、

と1行取引にこだわっているのです。

銀行にしたら、競争相手がいないのですから、

どうとでも言えます。

「担保なしで借りれないのか?」と言っても、

「いやぁ、担保がなくては貸せないですねぇ。」で終わりです。

 

担保なしの、「裸」貸しが当たり前の時代になったとはいえ、

それでも銀行員はできることなら、

担保をとりたい、と考えています。

自分の立場を守るには、当然なのです。

次に担保の話しをする際には、

「今回も“裸”で貸してくださいよ!」

と言ってみてください。

銀行員は、自分たちだけの業界用語のはずなのに、

と、ドキッとするかもしれません。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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