今回は、筆者が大阪の税務署で耳にした、医療費の領収書の保存にまつわる、市民と税務署職員の掛け合いを紹介します。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

医療費控除の申請手順が変わり、領収書の提出は不要に

2月下旬、大阪東税務署に確定申告へ行ってきました。

今年から、会場で各自パソコンの前に立ち、

その場でe-tax申請をする形になりました。

「うちら年金と株の配当だけやのに、

 こんな機械でやるのん? ようわからへんわぁ!」

とぼやいている年配の方が続発していました。

しかし、それも有無を言わさず、

若手職員がマンツーマンでパソコン作業に当たっていました。

 

そんななか、私の隣にいた年配の男性が、

医療費控除のことで職員に尋ねていました。

今年から、医療費控除の申請手順も変わり、

医療機関ごとの合計金額を入力するだけになりました。

領収書の提出は、不要になったのです。

「領収書は、ご本人で5年間、保管をお願いします」

「金額を書くだけやったら、この領収書はどないしたらええのん?」

と、税務署職員に尋ねていたのです。

「領収書は、ご本人で5年間、保管をお願いします。」

若手職員が対応しました。

すると、その年配男性が突っ込みました。

 

「あんたとこの親分は、

 国会に呼ばれて一年前の文書を出せ言われても、

 “処分しました。”で通ってたやないか?

 そやのにわしらには5年間も保管しとけ、言うんか?」

 

なかなか、ナイスなおじさんです。

大阪の納税者は、ひと味違うのです。

若手職員は返す言葉もなく、苦笑いしてごまかすしか、

ありませんでした。

で、その2週間後くらいに、国税庁長官が辞任しました。

 

しかし実際に、医療費の領収書を出してください、

と後から言われて、

「処分してしまった。」「大掃除で紛失しました。」と言ったらどうなるのか。

それだけで、「けしからん!」となり、

「医療費控除は全額認めない!」となるのでしょうか?

そんなことは、ありえません。

それだけで、不正だと立証することは、できないのです。

ただし、何度も同じことが繰り返されると、

さすがに故意ととられるでしょう。

 

だからと言って、

領収書を保管しなくてもよい、

ウソの金額を書いてもよい、と言うわけではありません。

領収書は、大切なエビデンスなのですから。

保管しておけばよいのです。

 

ただ、言われるがまま、すべてを真に受ける必要はない、

ということを、申し上げたいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧