今回は、銀行員が経営者に自行の行員の採用を勧める裏事情を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

ババ抜きの「ババ」みたいな人材を・・・

「最近の銀行は、人材も売りに来ますよ。」

 

と、先日ある経営者からお聞きしました。

「どういうことですか?」と尋ねました。

 

「そりゃあ、最近の銀行は、

人員を減らさないといけないんでしょう。」

 

「なるほど。で、どう言ってくるんですか?」

 

「あるメガバンクの役員ですけど、

 必要な人材があれば、遠慮なくおっしゃってください。

 うちの社員を紹介しますから。

 って言うんですよ。」

 

「年収はいくらくらいで、とか言うんですか?」

 

「それがまた、あからさまなんです。

 課長クラスで600万円、支店長クラスで800万円です。

 って、簡単に言うんですよ。

 逆にこっちがびっくりしました。」

 

「そんなたたき売りみたいな銀行人材は、

 おそらく、内部的にはCランクのさらに下の人材ですよ。

 ババ抜きのババですよ。」

 

「うちだって、そんな中途半端な銀行人材、要りませんよ。」

 

というやりとりを、その経営者としたのです。

ちなみにこれ、

どことは言いませんが、赤いメガバンクの話しです。

銀行の人材がみんな財務に強いと思ったら大間違い

しかし、世の中にはそんな話しがあると、

すぐに飛びつく経営者がいるのも事実なのです。

 

「それはいいお話しを、ありがとうございます!

 前向きに検討させていただきます!」

 

といった感じで、簡単に受け入れてしまうのです。

 

そんな経営者は、大きな勘違いをしています。

 

「銀行の人材なら、財務に強く優秀なんじゃないか?」

「銀行の人材を受け入れれば、良い条件で調達できるんじゃないか?」

要は、スケベ根性があるのです。

 

はっきり言って、そんなことは絶対にありえません。

銀行の人材がみな、財務に強いと思ったら、大間違いなのです。

そんなのは、妄想です。

たとえ課長・支店長クラスであっても、

貸借対照表を読めるのは、ごく一部の優秀人材です。

そんな優秀人材を、簡単に紹介するわけがないのです。

 

また、銀行員だからと言って、

良い条件で調達できるということも、ありえません。

むしろ、変に元の銀行に気を使って、

逆に高い金利で借りていた、ということさえあるのです。

 

特に、銀行から売りに来られて買った人材に、

優秀な人材など、いるはずがないのです。

そんなときは、

 

「そうですか・・・。最近の銀行は、

人材も売りに来られるようになったんですねぇ・・・。」

 

と、冷ややかに言ってやれば、いいのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

経営者の財務力を一気に アップさせる本〔補訂版〕

古山 喜章,井上 和弘

東峰書房

数字が苦手な人にこそ読んで欲しい! 本書では、会社経営にまつわる数字を読み解き財務力をアップさせる方法を解説します。数字が苦手だからこそとことんわかりやすく理解する方法を見出した筆者。そのノウハウをお伝えし、経…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧