前回に引き続き、平成に銀行から提供された商品・サービスと、それに手を出したことで泣きを見た中小企業の実情を見ていきましょう。今回は、「個人向け商品による金利・手数料拡大」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

この数年で「個人向け・高齢者向け商品」は急拡大

だましファイル⑧「個人向け商品による金利・手数料拡大」

 

平成20年以降もデフレが長引き、超低金利が続いています。

 

日銀が発表している、平成29年12月の新規融資の平均金利は、0.72%です。

いわば、このレベルの金利で借りれたとしても、

それは単に相場であって、交渉で得た有利な金利、

ということではないのです。

 

平成25年には、アベノミクスによる税制改革が始まりました。

法人税は下げる方向となり、個人の税は上げる方向に動きました。

貯蓄から投資への流れで、NISA開始が平成26年です。

続く平成27年には、相続税の控除額が減額改正されました。

 

この平成26年以降、銀行は個人向けの商品・仲介を、

どんどん増やしてきたのです。

 

●NISA販売による手数料

●孫への教育費等の信託手数料

●相続対策名目のアパート建設での金利・手数料および建設会社からのキックバック

●生命保険の窓口販売による手数料

●カードローンでの融資による高金利(約7%~約14%)

●住宅を担保にしたリバースモーゲージによる金利・手数料

 

などなど。

この数年で、個人向け商品は急拡大しているのです。

上記のいずれも、高感度のタレントを使い、

テレビCMをバンバン流していたものばかりです。

と、高齢者を対象にした商品・仲介が多いです。

 

手間がかかるわりに、低い利ザヤしか期待できない法人より、

CMや広告でアピールして、

個人から稼ぐ、という姿勢がより激しくなってきたのです。

それでもなお、「法人向けだまし商品」は健在!?

とはいえ、それでもなお、これまで紹介した、法人向けのだまし商品は健在です。

既存融資の個人保証解除さえ、まだまだ2割程度しか、進んでいないのです。

保証協会に頼る融資姿勢を切り出すのも、変わりません。

 

銀行を取り巻く環境の変化や、

銀行交渉に必要な情報・実態を知ろうとしない経営者がいる限り、

元号が変わろうとも、銀行のだまし商品はきっと、続くのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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