前回に引き続き、平成に銀行から提供された商品・サービスと、それに手を出したことで泣きを見た中小企業の実情を見ていきましょう。今回は、「シンジケートローン」を取り上げます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

高額融資を可能にする、シンジゲートローンのしくみ

だましファイル⑤「シンジケートローンによる融資拡大」

 

平成18年、ライブドアショックが起こり、

現状の三大メガバンク体制が始まりました。

その翌年、平成19年に拡大されたのが、

「シンジケートローン」です。

 

「シンジケート」という言葉の響きに、

やや暗黒めいた、やばい結束のイメージを感じます。

が、日本語で言うと、「協調融資」と訳されています。

最初からそういえばいいものを、

わざわざ横文字にして「シンジケートローン」というのが、

銀行のだましテクニックです。

 

内容としては、

ある銀行が主幹事となって、複数の銀行で会社に資金を貸す、

ということです。

主幹事となる銀行が、複数の銀行を含めての、

融資契約書を請け負い、各銀行と連絡を取り合います。

 

主幹事銀行にとっては、リスクの分散はできるは、

主幹事としての手数料は取れるは、で、おいしい融資なのです。

しかも、銀行同士で、手合わせも行われていました。

「この会社はうちが主幹事をさせていただきますから、

 あの会社では御行が主幹事をお願いします。」

「了解しました。金利はお互いに〇%ということで、どうですか?」

といった具合です。早い話し、談合ですね。

 

「銀行から、シンジケートローンで融資しましょうか?

 って言われたんですけど、どうなんでしょうか?」

という経営者からの質問を、その当時よく受けました。

特に、3億以上の融資になると、不良債権化することを恐れ、

リスク分散でシンジケートローンを提案してくる、

ということが多かったのです。

 

銀行から

「シンジケートローンの形なら、3億以上でも、

 融資可能ですよ。」

などと言われ、

その金額に踊らされてしまう社長が多かったのです。

 

そんなに借りれるんだ!と思っている瞬間に、

「多少の手数料がかかります。」と、さらっと言われるものの、

借りれる金額に喜んでいるので、手数料のことが頭に残らないのです。

カモにされるのは、評価が低い会社・社長が従順な会社

そういう提案を受ける会社の特徴は、大きく2つありました。

ひとつは、自己資本比率が20%以下で、

財務諸表による格付け(スコアリング)が、

正常先ではないと判断されていた会社です。

要は、評価の低い会社です。

 

ともうひとつは、単純に、

社長に提案したらOKしてくれそうな会社です。

社長が銀行サマサマ病で、交渉など仕掛けてこない、

銀行にとっては、ありがたい会社です。

しかも、

そんな会社ほど、高い金利や手数料を取られていたのです。

 

今も、シンジケートローンは存在します。

もしも銀行からこの提案がきたら、

「おたくはうちをどう評価しているんですか?」

と、たずねてほしいのです。

加えて、手数料を稼がせるだけの、

そのような話しには、のらないでほしいのです。

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    本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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