今回は、「働く妊産婦」のための保護制度を紹介します。※本連載は、税理士法人恒輝・代表社員で税理士の榎本恵一氏、渡辺人事経営研究所・所長で特定社会保険労務士の渡辺峰男氏、人事戦略研究所・代表で社会保険労務士の吉田幸司氏、YMG林会計グループ・代表で税理士の林充之氏、税法・会計学の講師である柳綾子氏の共著、『知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2018年版』(三和書籍)の中から一部を抜粋し、「結婚退職」「出産」に関する年金・税金の基礎知識を紹介します。

女性の退職理由の多くを占める「出産」「育児」

女性の退職理由の多くを占めるものに出産、育児のための退職があります。出産時にまったく休みなしでいることは不可能ですし、1日や2日の休みを取って出産できるというものではありません。出産が、女性の勤続年数が長くならない大きな原因と言われています。

 

その一方で、出産後も継続的に働きたいと思う女性も多く、そのような人を保護する制度もいくつかあります。これには、母体の保護を目的としたものも多くあります。母体の保護は直接生命の保護ですから、それも当然のことと言えるでしょう。

妊娠・出産・育児を経ても働き続けられる制度を構築中

他方、男女平等参画社会の実現も社会にとっては大きなニーズです。「男女雇用機会均等法」が施行されて以来、男女の性による労働条件の法律上の区別はなくなりつつあります。

 

以前は禁止されていた、女性の深夜労働や残業時間の制限は撤廃されました。働くうえでは男性も女性も変わりないという理由です。

 

しかし、合計特殊出生率が現在人口を維持できなくなるまで低下し、将来の我が国を支えるはずの人が生まれてこなくなるのは大問題です。そこで政府は、妊娠中の女性や出産後の女性に対しては配慮して、妊娠、出産、育児を経ながらも継続的に働けるように制度を組み立てています。

 

以下の図表をご覧ください。妊婦のための保護制度を簡単にまとめてみました。

 

[図表]妊婦のための保護制度

(注1)出産予定日より遅れて出産した場合は、遅れた日数だけ余計に産前休暇をとることができます。(注2)会社は本人に対して給与を支給しなくても問題ありません。(注3)産前産後休暇の期間とその後の30日間は解雇できません。
(注1)出産予定日より遅れて出産した場合は、遅れた日数だけ余計に産前休暇をとることができます。
(注2)会社は本人に対して給与を支給しなくても問題ありません。
(注3)産前産後休暇の期間とその後の30日間は解雇できません。
知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2018年版

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榎本 恵一,渡辺 峰男,吉田 幸司,林 充之,柳 綾子

三和書籍

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