今回は、産前・産後・育休中の従業員のための社会保険料免除制度を紹介します。※本連載は、税理士法人恒輝・代表社員で税理士の榎本恵一氏、渡辺人事経営研究所・所長で特定社会保険労務士の渡辺峰男氏、人事戦略研究所・代表で社会保険労務士の吉田幸司氏、YMG林会計グループ・代表で税理士の林充之氏、税法・会計学の講師である柳綾子氏の共著、『知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2018年版』(三和書籍)の中から一部を抜粋し、「結婚退職」「出産」に関する年金・税金の基礎知識を紹介します。

産休期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が全額免除

産前42日(多胎妊娠は98日)産後56日のうち、産前産後休業を取得した期間は健康保険料と厚生年金保険料が全額免除されます。保険料が免除されている間も、通常と同じように健康保険を使って治療を受けることができます。また、厚生年金を受け取るときは休業前の給料で保険料を支払ったものとして年金額が計算されます。

 

産前産後休業が終わって職場復帰された時で、休業前より給料が下った場合は、職場復帰後3カ月間の平均の給料を元に4カ月目から新しい健康保険料と厚生年金保険料で計算されます。(産前産後休業終了時改定)

育休中の免除期間は、子供が3歳になるまで

育児休業の取得期間(子供が3歳までの育児休業期間に限る)は健康保険料と厚生年金保険料が全額免除されます。保険料が免除されている間も、通常と同じように健康保険を使って治療を受けることができます。また、厚生年金を受け取るときは休業前の給料で保険料を支払ったものとして年金額が計算されます。

 

育児休業が終わって職場復帰された時で、休業前より給料が下った場合は、職場復帰後3カ月間の平均の給料を元に4カ月目から新しい健康保険料と厚生年金保険料で計算されます。(育児休業終了時改定)

 

[図表1]

 

[図表2]産前産後休業終了時改定・育児休業終了時改定

「産科医療補償制度」の補償が支払われる条件とは?

産まれてきた子供が分娩に関連して重度脳性まひを発症した時は、産科医療補償制度によって、総額3,000万円の補償金が支払われる制度です。

 

補償金が支払われる条件は次の5つです。

 

1.分娩した機関が産科医療補償制度に加入していること。

 

2.出生体重が1,400g以上かつ妊娠週数32週以上、または、妊娠週数が28週以上で低酸素状況を示す所定の要件を満たして出生したこと。

 

3.先天性や新生児期の要因によらない脳性まひであること。

 

4.身体障害者手帳1・2級相当の脳性まひであること。

 

5.分娩機関の医学的管理下において出生したこと。

 

補償金は、一時金600万円と20年間にわたって毎年120万円の分割金(総額3,000万円)が支払われます。この制度の掛け金は、分娩機関が全額支払います。また、この制度の補償申請期間は、子供が満5歳になるまでです。

知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2018年版

知って得する年金・税金・雇用・健康保険の基礎知識 2018年版

榎本 恵一,渡辺 峰男,吉田 幸司,林 充之,柳 綾子

三和書籍

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