今回は、M&Aにおける「デュー・ディリジェンス」の役割を見ていきます。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

株式価値の評価には、「正しい情報」の使用が大前提

株式価値を評価するにあたっては、実態や現状に則した正しい情報を使用することが大前提である。この情報は、単に財務諸表の適正性を確かめるだけではなく、正常収益力を測定するために必要な情報が入手されなければならない。

 

この情報を入手する作業がデュー・ディリジェンスである。例えば、デュー・ディリジェンスからは、一過性の損益の調整や会計処理を買い手の会計処理に合わせた場合の影響等についての情報が得られる。

 

デュー・ディリジェンスで入手する情報は、貸借対照表を中心とした実態純資産の分析に係るものが多い。

 

具体的には、資産の実在性として、回収可能性の低い売上債権、不良滞留在庫、遊休不動産、投資有価証券等の評価損益等を調整し、負債の網羅性としては、簿外債務を認識することにより、簿価純資産を修正することになる。

 

デュー・ディリジェンスの結果として、修正純資産法による株式価値が適正に評価されることとなる。

「将来の事業計画の実現可能性」の評価も重要に

一方、デュー・ディリジェンスでは、損益計算書を中心とした正常収益力に係る情報も入手される。具体的には、その期の途中で売却・廃止した事業にかかわる損益、一過性の損益の調整等により、会計上のEBITDAを正常化することとなる。

 

また、DCF法に使える情報を入手したい場合は、過年度の損益計算書を中心とした調査に加え、将来の事業計画の実現可能性を評価することを目的としたデュー・ディリジェンスも重要となる。また、事業計画の合理性を確かめるためには、費用構造の分析(CVP分析、変動費と固定費の分解)や予定されている設備投資の採算性分析等も不可欠であろう。

 

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