今回は、会社の売却において留意したい「株式の流動性」と「会社の支配権」について見ていきます。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

株式の流動性=株式が自由に売買できる取引の容易さ

公正価値評価においては、「株式の流動性の有無」「会社の支配権の有無」についても留意が必要である。

 

株式の流動性とは、株式が自由に売買できるか否かという取引の容易さのことである。流動性が特に問題となるのは、類似上場会社比較法を用いて非上場会社の株式価値を評価する場合である。使用する倍率は流動性の高い上場株式の倍率であり、そこには高い流動性に対する価値も含まれているため、非上場株式のように流動性の劣る部分については調整が必要である。そこで、この部分を株式価値からディスカウントすることとなる。

支配権=会社の議決権比率の価値

一方、会社の支配権とは、会社の議決権比率の価値であり、親族外承継(M&A)において議決権の過半や3分の2以上を取引する場合は支配権が対象となる取引と考えられる。

 

会社の支配権と評価方法との関係では、DCF法では、事業計画を基に株式価値を評価することから、事業をコントロールできる場合の価値として会社支配権を有する価値と考えられる。

 

逆に類似上場企業比較法では、上場株式の倍率を使用して株式価値を評価しているが、この上場株式の株価は一般的に少数株主間の取引価格であるため、単純に株式価値を評価したままでは支配権のない価値となる。

 

したがって、完全な会社支配権を対象とした親族外承継(M&A)において類似上場企業比較法で株式価値を評価する際には、支配権プレミアムを加算する必要がある。

 

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