会社の売却・・・デュー・ディリジェンス実施後の対応①

今回は、デュー・ディリジェンスで検出された問題を解消する、契約書の修正案(カウンター・オファー)について見ていきます。※本連載では、島津会計税理士法人東京事務所長、事業承継コンサルティング株式会社代表取締役で、公認会計士/税理士として活躍する岸田康雄氏が、中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方を説明します。

契約書の修正案(カウンター・オファー)とは?

株式譲渡契約書の規定は、ほとんどが買い手の利益保護やリスク回避を目的とするものである。買い手は、デュー・ディリジェンスで検出された問題点を解消するため、以下のような契約書の修正案(カウンター・オファー)を提示する。

 

(1) 価格修正

対象会社の瑕疵や問題点を金額で評価し、取引価額の引下げを要求する。

 

(2)クロージング前の問題解決

顕在化している瑕疵や問題点を売り手が解消することを、クロージング日までの売り手の義務(誓約事項)とするとともに、完全に解消したことがクロージングの前提条件となることを要求する。

 

(3)クロージング後のリスク回避

潜在的なリスク要因をカバーするために、瑕疵や問題点がないことについて表明保証項目へ記載することを要求する。それゆえ、リスクが顕在化した場合には表明保証違反となり、売り手による補償を求めることができる契約内容を求める。

「買い手からの要求」の具体例

具体例として、以下のようなケースが考えられる。

 

<買い手からの要求の具体例>

 

【論点1】

デュー・ディリジェンスの結果、工場の地下水および土壌の汚染が検出された。これにより、土壌汚染対策法に基づく浄化義務が発生している。工場を移転する場合、多額の浄化コスト(売り手の見積額は3億円)が発生することが見込まれる。

【買い手からの要求】

1.取引価額の3億円の下方修正を行うこと(①価格修正)。

2.クロージング前に環境調査を実施し、浄化コストを第三者機関に評価させること(②クロージング前の問題解決)。

3.第三者機関による評価書において浄化コストが3億円を超えていないことを、クロージングの前提条件とすること(②クロージング前の問題解決)。

 

【論点2】

技術供与を受けているアメリカの会社との技術使用許諾契約書に、チェンジ・オブ・コントロール条項が入っている。この技術を使用できなくなれば、製品Xの製造販売ができなくなる。

【買い手からの要求】

経営権の移転後も技術供与が継続することについて、書面による同意をアメリカの会社から入手することを、クロージング前の誓約条件、クロージングの前提条件とすること(②クロージング前の問題解決)。

 

この話は次回に続く。

 

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国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

平成29年経済産業省「事業承継ガイドライン改訂小委員会」委員、日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、金融機関に在籍し、中小企業オーナーの相続対策から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継と組織再編のアドバイスを行った。

WEBサイト https://fudosan-tax.net/

著者紹介

連載中小企業経営者のための「親族外」事業承継の進め方

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