相続対策における「現状分析」と「シミュレーション」の重要性

相続対策では、資産の種類や規模、置かれた状況など、個人の事情によって解決すべき課題も大きく変わります。本連載は、一般社団法人全国相続コンサルティングネットワーク代表理事・豊田剛士氏の著書『地主・大家の相続対策の本質』(現代書林)から一部を抜粋し、「地主・大家」ための相続対策のポイントを紹介していきます。

現状分析→課題や問題の抽出→対策の実施

相続対策の実施にあたって、まず注意していただきたいことがあります。

 

相続対策の肝は「現状分析」です(編集部注:現状分析の具体的なポイントについては書籍参照)。現状分析することで見える今の課題への対策を立てるという原則を守って進めることです。ほとんどの方が現状分析をせずに断片的な情報を基に対策を行っているのが現実です。これはその方のせいというよりも、相続対策と謳って商売をしている側の多くが相続対策を目的にしているのではなく、商品やサービスを売るための切り口にしていることが問題なのかもしれません。

 

しかし、相続対策を進めるときは断片的な情報で行う部分最適ではなく、全体を俯瞰して考える全体最適を目指してください。現状分析→課題や問題の抽出→対策の実施の手順で相続対策を考えると、現状をよりよくする課題も見えてきます。こうして対策の検討を重ねることで、よりよい相続対策になり、より強固な資産の形成になります。

 

数字だけをしっかりと捉える相続対策を行っても、感情面が置き去りになると言う方もいますが、実際はその逆です。最初から正しい数字を伝えることで誠実な態度が伝わります。相続で揉めるときは、隠したり、後から不利な事実を聞いたりする場面が多いものです。たとえば、1億円で均等に分けようと言われたのに、実は1人の相続分が2億円の価値があったということがわかれば不信感を持つのは当たり前でしょう。

対策を進める前に必ず「シミュレーション」を!

また、実際に対策を行うときは、やらなかったらどうなるのか、やったらどうなるのかというシミュレーションを行って、効果を確認しながら進めてください。業者さんによいと言われたからという理由で進めても、後から間違いに気づいて修正を行い、多額の費用がかかる場合もあります。

 

私のところにはすでに対策をしてしまって、後からよい選択肢でなかったことに気づいて修正を希望される方もたくさんいて、その多くの方が対策前に相談して効果を確認してから進めればよかったと言います。そのようなことにならないようにシミュレーションを行って効果の確認をしたうえで進めましょう。

 

対策を進める際には、優先順位を決めて行っていきます。間違いの訂正と遺産分割対策は同時並行で行い、相続税の節税と納税対策は数字が大きい順に対策を進めていきます。効果が大きいとわかっている対策を後回しにして、効果の小さな対策を先に進めているうちに、万が一のことが起きて相続が発生してしまうと、できることもできなくなってしまう可能性があります。実際問題としては、ケースバイケースですが、基本的に対策は効果の大きい順に進めましょう。

ベストプラン株式会社
 代表取締役

一般社団法人CCIM JAPAN(米国認定不動産投資顧問協会日本支部)2019年度会長。一般社団法人IREM JAPAN(全米不動産管理協会日本支部)理事。一般社団法人神奈川県相続相談協会代表理事。一般社団法人全国相続コンサルティングネットワーク代表理事。不動産のコンサルティングを強みにファイナンシャルプランニング、保険の設計など、資産全体のコンサルティングを個人や法人向けに実施。顧客が資産形成を行うための最善の方法を選択できるよう、徹底した分析やシミュレーションを行い、対策を立案。不動産売買では実行までを丁寧にサポートしている。このほか資産形成のコンサルタントを養成するプロ向けの講座を主催。後進の育成にも尽力している。

著者紹介

連載一族を繁栄させる「地主・大家」のための相続対策

地主・大家の相続対策の本質

地主・大家の相続対策の本質

豊田 剛士

現代書林

年間100件を超える相続相談に単身で応え、数十億単位の資産の相続にも最適な対策を提供し続けている著者が明かす、「全体」を見据えた一族繁栄のための相続対策の「本質」とは? 「遺言作成」、「生命保険」、「賃貸アパート建…

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