今回は、所有する不動産の「賃貸経営改善」が相続対策になる理由を説明します。※本連載は、豊田剛士氏の著書、『「知らなかった」ではすまされない 地主・大家の相続対策の本質』(現代書林)の中から一部を抜粋し、相続発生後の流れから具体的な相続対策まで、相続対策の本質を詳しく紹介します。

節税対策に使える「賃貸割合」の重要性

賃貸経営改善が相続対策になるというとピンと来ないという方も多いと思います。すぐに効果が出るものではないので、時間をかけて改善していくものです。

 

しかし、そもそも相続税の納税資金が足りないという現象は、持っている資産の相続税評価に対して稼ぎ出している収入が少ないということが根本の原因でもあります。そのため、時間はかかりますが改善していきたいポイントです。

 

また、相続税評価を行う際の貸家建付地の計算でも節税対策に使える賃貸割合というものがあります。たとえば5戸中4戸埋まっていれば80%使えます。5戸中5戸埋まっていれば100%使えるので、空室があるということは相続税評価に悪影響が出るということです。空室でも、募集をしていれば大丈夫という方もいますが、本来は賃借人に借家権が発生していることで、オーナーが自己使用をするために立ち退き費用などを要するという観点で減額が認められているのです。

一度に3つの効果がある賃貸経営の改善

所轄の税務署によって、募集期間が3か月なら認める、1年だったら認めるなど、見解も違いますので、オーナー側でできる努力は空室を作らないことです。

 

経営状態がよいとその分相続税の納税資金の確保ができ、相続税評価は下がり、時価ベースの資産価値は上がります。

 

つまり賃貸経営の改善は、一度に3つの効果のある対策です。第3章「賃貸経営状況確認」(※書籍参照)で説明したように、収支の現状を確認して、賃貸経営改善にぜひ取り組んでみてください。

地主・大家の相続対策の本質

地主・大家の相続対策の本質

豊田 剛士

現代書林

年間100件を超える相続相談に単身で応え、数十億単位の資産の相続にも最適な対策を提供し続けている著者が明かす、「全体」を見据えた一族繁栄のための相続対策の「本質」とは? 「遺言作成」、「生命保険」、「賃貸アパート建…

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