節税対策に使える「賃貸割合」の重要性
賃貸経営改善が相続対策になるというとピンと来ないという方も多いと思います。すぐに効果が出るものではないので、時間をかけて改善していくものです。
しかし、そもそも相続税の納税資金が足りないという現象は、持っている資産の相続税評価に対して稼ぎ出している収入が少ないということが根本の原因でもあります。そのため、時間はかかりますが改善していきたいポイントです。
また、相続税評価を行う際の貸家建付地の計算でも節税対策に使える賃貸割合というものがあります。たとえば5戸中4戸埋まっていれば80%使えます。5戸中5戸埋まっていれば100%使えるので、空室があるということは相続税評価に悪影響が出るということです。空室でも、募集をしていれば大丈夫という方もいますが、本来は賃借人に借家権が発生していることで、オーナーが自己使用をするために立ち退き費用などを要するという観点で減額が認められているのです。
一度に3つの効果がある賃貸経営の改善
所轄の税務署によって、募集期間が3か月なら認める、1年だったら認めるなど、見解も違いますので、オーナー側でできる努力は空室を作らないことです。
経営状態がよいとその分相続税の納税資金の確保ができ、相続税評価は下がり、時価ベースの資産価値は上がります。
つまり賃貸経営の改善は、一度に3つの効果のある対策です。第3章「賃貸経営状況確認」(※書籍参照)で説明したように、収支の現状を確認して、賃貸経営改善にぜひ取り組んでみてください。