地主の多くは売却には後ろ向きだが・・・
現状分析を行い、課題を抽出すると、時価の視点、相続税評価の視点から、効率よく収入を生んでいるかどうかがわかります。キャッシュフローの視点、簿価の視点から見ると、キャッシュフローと課税所得の関係がわかります。資産の額に対して効率よく稼げていない資産であれば売却し、効率のよい資産に組み替えることを検討する必要があるでしょう。また、キャッシュフローに対して課税所得が多くなり、税引き後キャッシュフローが減っている場合には、減価償却を多く取れる資産を購入し、全体のバランスを調整したり、資産の組替えを検討する必要があるかもしれません。
地主さんの多くは、先祖代々引き継いできた土地を守りたいという気持ちが強いので、資産の組替え、とくに売却には後ろ向きです。しかし、現実は第1章の事例①(※書籍P17参照)にもあったように、対策を行わないと相続が発生するたびに土地を切り売りし、相続税の納税資金を捻出しているという事実もあります。
先祖代々引き継いできた土地を自分の代で売却したくない、後世に残したいという気持ちを捨ててくださいとは言いません。しかし、残したい土地があり、その土地が効率よく収入を生み出していないなら、他の資産で穴埋めをする必要があり、その対策を立てるべきなのです。
現状分析、シミュレーションの重要性とは?
具体的には、必ず残したい土地以外の効率の悪い資産を売却し、効率のよい資産に組み替える、または効率のよい資産を買い増していくということになります。単体で効率よく収入を上げている不動産を探すのも簡単ではありませんから、効率のよくない資産の収入を補う分だけの資産を殖やしていくのは簡単ではないと思います。
しかし、資産を守るとはそういうことであり、守りたいものがあるなら守れるように努力しなければいけません。現状分析をし、シミュレーションすることで、どのような資産をどれだけ増やせば資産を守ることができるのか、資産を組み替えるとどうなるのかということはすぐに確認することができます。
死守したい資産のために、組み替えてもよい資産を最有効活用し、相続税の納税資金の捻出、資産が殖える仕組みを作ってください。大きな資産の額を動かすので不安もあると思いますが、不安があるときは解消するまでシミュレーションを行ってください。考えられるリスクを反映したシミュレーションを行うことで不安も解消できるでしょう。不動産の売却、不動産の購入に関しては後述します(※書籍参照)ので参考にしてください。