今回は、相続時に確定する重要な3つのポイントを見たうえで、相続対策は「生前」に進めておくべき理由を改めて整理します。※本連載は、一般社団法人全国相続コンサルティングネットワーク代表理事・豊田剛士氏の著書『地主・大家の相続対策の本質』(現代書林)から一部を抜粋し、「地主・大家」ための相続対策のポイントを紹介していきます。

相続発生時に確定する重要な3つのポイント

実際に対策に当たる前に、相続が発生するとどういう流れになり、何ができなくなるのかを確認しておきましょう。相続発生時に何が起こるのかを理解しておくと、生前でしかできないこと、やっておくべきことが明確になります。[図表]は、相続発生から相続税申告まで流れです。相続が発生し、相続税申告までの期間は10か月です。相続が発生した時点で何が起こるのでしょうか。

 

[図表]

 

この時点で、①相続人が確定、②相続財産が確定、③相続税申告までの期限が確定します。ここが重要なポイントです。

置かれた状況のなかで「最良の手続き」を行っていく

相続が発生すると、相続人の人数、相続財産の構成を変えることができなくなります。そのため、相続発生後は限られた条件のなかで適切な評価方法で適切な特例を使うということが中心になります。土地を分筆し、別々の相続人に遺産分割して評価を引き下げたり、不動産の売却を行って時価申告をしたり、払った相続税を取得費に加算できる特例を使ったりなどもできますが、置かれた状況のなかで最良の手続きを行っていくというイメージです。

 

この対策も、相続に強い専門家に頼むのとそうでないのとでは雲泥の差が出ますが、問題や課題の根本は解決しません。財産を相続した次の世代が同じように対策をしなければ、遺産分割をした分、相続税の納税のために手放した分だけ財産が減り、同じ問題や課題が繰り返されます。

 

相続人を増やす対策、相続に強い財産の構成に変えていく対策は、相続発生によって相続人と相続財産が確定してからはできませんので、生前に行わなければいけません。また相続発生よって申告の期限が確定するということは、相続税の納税の期限も決まりますので、10か月以内に相続税の納税資金を確保するという道筋を立てておく必要があります。

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