不動産業向け融資の総量規制、リーマンショック・・・
不動産の価格は、売上である賃料の増加を期待して値上がりするという面はありますが、過去に大きく値上がり、値下がりした時期を振り返ると、そこに、金融が大きく影響しています。
1990年前後のバブル期まで、土地は値上がりし続けるという土地神話がありました。土地を担保に金融機関は貸し出しを行いました。お金が不動産に流れ込んだのです。ところが、1990年3月、不動産業向け融資の総量規制が、当時の大蔵省により金融機関に通達され、お金が不動産に流れなくなりました。また、貸出金利の基準となっていた公定歩合が、1989年5月の3.25%から1990年8月には6.00%に上昇し翌年7月1日まで続きました。これらが不動産バブル崩壊につながった大きな原因の一つといわれています。
その後、不動産の証券化が進み、また、それまでは企業という法人への融資でしたが、不動産そのものへの融資というノンリコースローンが始まり、不動産にお金が流れ込むようになりました。これらが、2000年代半ばの不動産価格高騰につながります。しかし、これも、2008年のリーマン・ショックで資金供給がされなくなると、一気に不動産価格は下落します。上場不動産会社だけでなく、安心といわれていたJ-REIT(Jリート・不動産投資信託)でも破たんするところが出ました。
近年の大規模な金融緩和で、不動産価格は上昇傾向に
その後、先進各国の金融緩和、2013年4月には、第2次安倍内閣・黒田日銀総裁による従来の金融政策と異なる異次元の金融緩和が始まりました。日本銀行券という“お札を刷って”、日本国債などを買って、世の中にお札をジャブジャブまく。お金の量が増えれば、インフレになるはずです。
適当な資金運用先が見つけにくいことや、不動産購入に際しての資金調達が低利でできるようになり、結果として、投資で必要な利回り水準が下がり、不動産価格が上がっています(国債の価格が、利回りが下がれば価格が上昇するのと同じです)。
2014年10月にはアメリカが約6年間で約4兆ドルの量的緩和終了を決定しましたが、その2日後、日銀は、逆に量的緩和を拡大させると決定しました。